さて、前回の記事でもちらっと触れていましたが、私はどうやら香水の香料におけるタバコリーフの香り(≠副流煙の匂い)に惹かれるところがあるようなので、タバコ関連の香水をCelesで集めて嗅ぎ比べてみました。
前回の記事はこちら↓
- 香水におけるタバコの香りって何?
- サンタ・マリア・ノヴェッラ(Santa Maria Novella) - Tabacoo Toscano
- メゾンマルジェラ(Maison Margiela) - Jazz Club
- セルジュ・ルタンス(SERGE LUTENS) - シェルギィ
- Tom Ford - Tobacco Vanille
- Dior - トバカラー
- キリアン(Kilian) - Back to Black
- ゲラン(Guerlain) - Tobacco Honey
- Miller Harris - Feuilles de Tabac
- Caron - Tabac Exquis
- まとめ
香水におけるタバコの香りって何?
暖かい納屋の乾いた干し草の俵、はちみつのようなプルーンの皮、古い革手袋の内側。タバコアブソリュートはタバコの煙とはまったく異なる香りで、燻製された葉そのものであり、クマリンの香りと果実のような濃さがあり、灰皿よりもトンカ豆に近い香りです。
(上記サイトより引用)
タバコリーフから抽出したアブソリュート自体を単体で嗅いだことは無いのですが、今回タバコ系香水をいろいろ集めてみた結果、上記の文章の意味が少しわかるような気がしてきました。少し甘くてスモーキーで魅力的な香りが共通しており、「これがタバコの香りか......?」となっています。
サンタ・マリア・ノヴェッラ(Santa Maria Novella) - Tabacoo Toscano
サンタ・マリア・ノヴェッラはもともとマッジオウォーターというアロマウォーターを使っていたので気になっていました。香水界の老舗ということもあり、その歴史にはかなり興味を持っていました。(とはいえ、Tabacco Toscanoが古い時代の香水かというとそういうわけでもなさそうですが......)
トバッコ トスカーノの香りが放つ、時を超えた魅力に身をゆだねてみてください。トスカーナ産のタバコがもたらす温かくなめらかな香りが、スモーキーなバニラのベースと出会う香りの旅へと誘います。
トップノート:
ベルガモット, トスカーナタバコリーフハートノート:
レザー, アンバー, バーチウッドベースノート:
シダーウッド, ガイアック, サンダルウッド, ムスク, バニラ(上記サイトより引用)
タバコリーフにサンダルウッドにバニラ、私の好きそうなもので構成されています。
吹いてみると、最初にタバコの香りと花の香り(おそらくベルガモット)が現れます。花の香りの揮発は早く、その後ほのかな甘さを伴う木の香りが出てきます。
「祖父の家の仏間の香りがする......」と思ってしまうのは、シダーウッドとサンダルウッドの影響かもしれません。でも上品なので、懐かしさはありつつも嫌な香りではないです。
Tabacco Toscanoはあくまでオーデコロンなので、それもあって香りが比較的柔らかいのだと思います。
メゾンマルジェラ(Maison Margiela) - Jazz Club
前回記事でもレビューしたのですが、今回は肌に乗せて時間をかけて確認してみました。
第一印象が「アメリカ!米軍基地!」なのは変わりません。米軍基地のBXで食事してる時のあちらこちらから現地の人のつけてる香りが漂ってくるあの感覚に似ています。
ゲランなどの時間で変化する香水に慣れてくると、Jazz Clubは時間とともに「なんだかずっとガヤガヤしてる、騒がしい」という印象が出てきます。最後に静かに調和やハーモニーを奏でる余韻を楽しむというよりは、あちらこちらで楽器が音出し練習をしていて一つの音楽の形になっていないような、でもその喧騒すらこの香りの景色であるような印象です。
ニューヨークの中心地に潜む心を浮き立たせるジャズの音色に包まれたプライベートジャズクラブに漂う親密な雰囲気を想起させるレプリカ オードトワレ ジャズ クラブ。空間を包み込む大人の自信を感じさせるスパイシーで豊かなカクテルの香り、サックスの音色とコクのあるウイスキーを思わせる温かい香りが特徴です。ラムアブソリュートとバニラビーンで再現されたアンバーラムの芳醇な香り、タバコリーフとピンクペッパーで再現されたエレガントでスモーキーな香りをお楽しみください。
(上記サイトより引用)
エレガントかな.......?エレガントなのかな......?
タバコについては、最後の残り香の中に少し混じっている感覚はありました。
セルジュ・ルタンス(SERGE LUTENS) - シェルギィ
つけたての香りはの第一印象は、「これはなんの香りだ?!」と混乱させるような印象。何でできているのかわからない、何で構成されているのかがわからない、というような、混乱を最初に感じました。花?干した果実?煙?という感じ。
けれど肌に乗せると次第に調和してきて、最初の混乱から調和に連れていかれる感じがあります。さながら、使ってる楽器が何なのかわからないくらいの不協和音で始まった現代音楽が、最後にきれいなハーモニーで締めるような香りの遷移。タバコの香りはさり気なく存在している気がします。
公式の紹介文を確認してみましょう。
けだるさに満ちたモロッコの地に、東方から熱風が吹き付ける。
辺りの花や木々、果実など、すべてを一瞬にして吸い込んで 赤いカーテンのように舞い上がり、 熱の中それらを溶かし、結晶させる。
風の去った後。香りだけが熱気のように残る。
(上記サイトより引用)
なんだかわかるような、わからないような.....?
(どうやらセルジュ・ルタンスが全体的にこんな雰囲気のところらしいですが.......)
調香師はクリストファー・シェルドレイク
Tom Ford - Tobacco Vanille
甘い系統のタバコリーフにバニラの香り、合いそうだなと思い注文。
ロンドンに対するトム フォードの思慕が、スパイスやコニャックの芳醇な香り漂う、イギリスの紳士クラブを思わせるこのフレグランスを誕生させました。
トム フォードは、クリーミーなトンカビーンとバニラ、ココア、ドライフルーツ、甘い香りの樹液を加えることで、クラシックなフレグランスのジャンルをまったく新しく作り変えました。
女性が身につけない限り、何から何まで完全に男性的で、モダンで贅沢な印象の香りに仕上げました。(上記サイトより引用)
つけたてはフレッシュで爽やかな、フルーティな甘さが目立ちますが、次第に甘ったるい香りがしてきます。その奥にスモーキーで香り豊かなタバコがあるように感じます。
洋酒とドライフルーツとスパイスの記述が説明文にありましたが、確かに、イギリスのミンスミート(ドライフルーツとスパイスの洋酒漬け)のような香りがします。紳士クラブっていうよりイギリス伝統お菓子のイメージが出てきてしまうのはミンスミートのせいかも。
説明文中の「何から何まで完全に男性的」というのはよくわからないですが、ラピュタの「おれなぁ、ミンスミートパイが好きなんだ」のセリフのことは思い出してしまいます。
どうも私はフルーティな香りの中の酸味があまり香水としては好きではないようで、香水にはもっとスモーキーで甘ったるくてもったりしていてほしいと思ってしまうようです。完全に個人の好みの話ですが。
離れて嗅ぐと酸味が抑えられて甘いバニラとタバコの香りになるので、それはそれで好きかも。
調香師はOlivier Gillotin。
Dior - トバカラー
甘い系のタバコ香水ということで注文。
2021年発売 調香師はFrançois Demachy(フランソワ・ドゥマシー)。
トバカラー、幾千もの色彩の煌めきが散りばめられた、タバコのシルエット。
フッカ(水タバコ)の煙がくゆる薄暗いバザール(市場)の中を、クリスチャン・ディオールが歩いたときに印象を受けた無数の色調を香りで描いたフレグランスです。
温もりのあるアンバーとグルマンが織りなすトバカラーのシルエットは、フルーティーな香りと蜂蜜のアクセントとの間を揺れる、ラメのような煌めきを広げます。
(上記サイトより引用)
つけたては甘い蜜(ハチミツというより花の蜜のよう)の香りがふわっと立ち上る。その奥に甘いスモーキーな香りがあるけどこれが多分タバコリーフの香り。時間が経つに連れタバコのほうが前に出てくる感じがあります。
トバカラー、実はムエットに試したときの第一印象はあまり好きではなかったのですが、肌に乗せて試してみたらあら不思議、意外と好きな香りになりました。
キリアン(Kilian) - Back to Black
調香師はCalice Becker。Diorのジャドールを作った人なんだそう。
バック トゥ ブラック アフロディジアック オード パルファムlatelierdesparfums.jp
闇夜にこそ輝く目映い星々
気だるいハニーと甘いスパイスが絡み合い、ミステリアスでスモーキーなインセンスのエッセンスとバニラ アブソリュートに包まれて、まるで媚薬のように惹きつけられ虜になってゆく…。ブルーカモミールとシダーウッドは煙に包まれたように漂い、サンダルウッドのノートがグルマンなタバコのハーモニーを完成させると、その印象的な力強さは五感を刺激します。(上記サイトより引用)
つけたてはドライフルーツとスパイスの甘さを感じる香り。甘ったるい煙の香りがするのがタバコリーフの香りかも。時間が経つと肌の上でだんだん石鹸のような香りになってきます。名前の割にお上品な香りだな......。
このページによると、Back to Blackには「トップノートもミドルノートも実際には存在しない」らしいです。そんなことあるんだ。
Diorのトバカラーよりもつけやすい香りかもしれません。
ゲラン(Guerlain) - Tobacco Honey
調香師はデルフィーヌ・ジェルク(Delphine Jelk)、2023年発売。
アンバーなウッディーノートが奏でる、タバコの新しい解釈
危険なまでにセンシュアルな素材「タバコ」。タバコアコードがハニーという対照的な素材との出会いによって、その最も美しいファセットを現します。禁断のタバコアコードにハニーの黄金の輝きを吹き込むことで、相反する2つの素材が香りの化学反応を起こします。デリシャスなアンバーノートを基調としたタバコアコードをヴァニラとトンカビーン、セサミで包み込み、とろけるようなハニーの輝きを重ねました。アニスとクローブがこれらの香りをより一層引き立てます。甘くクリーミーなサンダルウッドとパワフルなウードを合わせたウッディノートによって、ベースノートの余韻を裏打ちしました。
(上記サイトより引用)
つけた瞬間は花の香り、でもあっという間にハチミツ(こっちは花の蜜ではなくはっきりとハチミツの香り)の香りに変化していきます。まるで手持ち花火の色が変わるような変化です(安っぽい例えで申し訳ない)。だけどただ甘いハチミツなのではなく、その奥には燻された古木の香りがしていて、それが上品な印象にまとめ上げています。甘ったるい方向に全振りするわけじゃないのはこの木の香りが支えているからなのでしょう。
良く言えばオリエンタル、俗っぽく言えば仏間の香りがハチミツの向こうに感じられます。祖父の仏間でお歳暮で送られてきた高級なお菓子(フルーツではない)でも食べてる時のような感覚はちょっとありますが、だからといって嫌な感じはしません。
他のタバコ&甘い系の香水と比較して、ドライフルーツ等の酸味のある香りがないのもわりと好きなポイントかもしれません。
Miller Harris - Feuilles de Tabac
2000年発売、調香師はLyn Harris。
スモーキーでロマンチックなサン=ジェルマンのブラッスリーを彷彿とさせるフレグランス
リッチなウッド、タバコ リーフとスパイスがミステリアスに香り立つフレグランス。キューバ カスカリラオイルとピメントベリーが、パインニードルとベルベットセージとのクールなコントラストを描き、クリーミー トンカビーン、マレー半島のパチョリでその病みつきになるような特徴ある香りが完成します。
TOP
イタリアン ベルガモット / フレンチ セージ / シベリアン パインニード
HEART
キューバ産カスカリラ オイル / ピメント ベリー
BASE
フレンチ タバコリーフ
(上記サイトより引用)
つけたては木の香りがぶわっと立ち上ります。清々しい香りはおそらく針葉樹の精油(パインニードル)。全体的にはキリッとした印象の香りです。次第にお香のような香りがしてきます。離れて嗅ぐと石鹸のような、近づくとお香のような香りなので不思議な感じです。
時間が経つと少し甘さを伴ったタバコリーフの香りが残ります。
Caron - Tabac Exquis
調香師はJean Jacques。
CARONのシグニチャー、タバコファミリーのインスピレーションを得たジャン・ジャックのニュークリエーション。アイコンであるタバコにおいしくてモダンなチョコレートアコードのグルマンノートを吹き込む独創的なアイデアを思いついた。驚くべきこの組み合わせは普遍的な快楽を与えるフレグランス。
タバコアブソリュートとチョコレートのあたたかみのある特長を極限まで高めた。カカオとトンカビーンズのアブソリュートがグルマン感を盛り立て、アンブロクサンのウッディな広がりが肌の上に美しく残る。数々の素晴らしい素材がふんだんに使われ、酔わせるような香りとなり、使う人の感情を捉えて離さない・・・。
[香りの構成]
アンブロクサン|ラブダナムレジノイド|ミルラレジノイド|セイロンのシナモンバーク|モロッコのジャスミンアブソリュート|チョコレートアコード|タイのベンゾインレジノイド|ココアアブソリュート|イリスレジノイド|ソマリアのフランキンセンスハイパーアブソリュート
(上記サイトより引用)
↑あれ?!香りの構成のなかにタバコ入ってない?!どうやらタバコ以外でタバコっぽさを演出している香水の可能性があります。
つけたては甘い香り、そのすぐ後にわずかに苦みを伴う香りが立ち上ってきます。たしかに、カカオ90%とかの本格チョコレートのような苦い香りです。ベンゾインの甘ったるい香りもあります。タバコは......言われてみれば居ないかも?な感じ。
全体的には好きな香りです。タバコ入ってないっぽいけど。
まとめ
タバコ関係の香水をいくつか集めて嗅ぎ比べてみましたが、「すごく苦手!」という香水はあまりありませんでした。やっぱり系統として好きな方向性なのかもしれません。
今回のレビューで「祖父の仏間」がワードとして頻出してますが、いい匂いのイメージとして例示しているつもりです。
今回の中でどれが一番好きだったかと言われたら、ゲランのタバコハニーかな......?と思ってます。またゲランか。
というわけで前回に引き続き、ゲランが気になってきています。
次回はジャン=ポール・ゲランの作品を集めて嗅ぎ比べしてみたいなと思っています。