過去2回のブログでどちらもゲランが気になってきたので、ゲラン特集の記事を書いてみようと思いました。
ゲランと言っても今のゲランではなく、まだゲラン家一族が調香していた頃のゲランの香水のサンプルをCelesで集めて嗅ぎ比べてみました。
以前の記事でレビューしているものも改めてレビューしてみたいと思います。
なお、引用文はだいたいゲランの公式サイトから引用しています。
Aimé Guerlain(1834年-1910年)
ゲラン家の2代目調香師。ゲルリナーデと呼ばれるゲラン秘伝のレシピを完成させた人らしい。
cahiersdemode.com
Jicky(1889年)
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足取りとともに蒔かれる、サスペンスに満ちた誘惑の種。アンドロジナスなカーブが描く曖昧な輪郭とともに、〈ジッキー〉がいたずらっぽく戯れます。「ジッキー」とは、ゲランの調香師エメ・ゲランが留学先のイギリスで出会い、恋に落ちた若く美しい女性の名前です。若かりし頃の恋へのオマージュとして、エメ・ゲランは「世界初のモダンフレグランス」と称えられた、斬新な香りを生み出しました。マスキュリンまたはフェミニンといったすべての香りのルールを破る〈ジッキー〉は、コントラストが描き出すラディカルな戯れで人々を魅了します。レモンとラベンダーをベースにしたフゼアのアコードがひんやりとした冷たさを吹き込む一方、ウッディなヴァニラの香りが温かみと個性をもたらします。女性を惑わせ、男性を虜にする〈ジッキー〉。瞬く間に〈ジッキー〉は男女問わず愛され、「ボトルの中のエモーション」として人々の記憶に永遠に刻まれました。
ラベンダーとヴァニラの曖昧さが描く、アンドロジナスな恋の伝説
温かみのあるアンバーから漂うスパイシーな香りが、フレッシュでアロマティックなレモンとラベンダーと溶け合います。その一方、ウッディなヴァニラがフレグランスに大胆なストラクチャーと生き生きとしたキャラクターを与えています。
私にとっては初めてのフゼア系香水。
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最初の印象は「キリッとシャープネス!」でした。嫌な感じはしません。夫いわく、「温泉があるちょっといい宿の男性用化粧水の香りを思い出す」んだそうです。なるほどそのへんの製品がフォロワーとしてフゼア系を真似しているんでしょうね。
幸か不幸か私の身の回りには、お風呂上がりに男性用オーデコロンをはたくような身だしなみに気遣う年長の男性がいなかったため、フゼア系に対して「おじさんの香り」という印象が刷り込まれていません。
ジッキーの香りは爽やかで清々しいのですが、どこか硬い印象があり、後述のミツコのほうが柔らかい印象がありました。
時間が経つとくゆらすような香りに変化するのですが、これがクマリンなのかな?現代ではその量を規制されてしまっているクマリンですが、制作当時はどんな香りだったのかと思いを馳せたくなります。例え発売当時(1889年、タイタニックより前!)の香りと現代の製品版の香りが異なっているとしても、その魅力は残っている香水だと思います。
音楽で例えるなら、「現代の楽器と調律で演奏するバロック時代の名曲」って感じの距離感でしょうか。全く同じ仕上がりではないけれど、それが魅力的であることは変わりません。
Jacques Edouard Guerlain(1874年 – 1963年)
ゲラン家の3代目調香師
Après L’Ondée(1906年)オーデトワレ
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嵐が過ぎ去り、顔を出した太陽の光のもとで、葉や草に残った露がきらきらと輝いています。やわらかな木漏れ日が差すと、温かな空気が辺りを包みはじめます。森の向こうで、神秘的なオーラをまとった美しい女性が繊細な足取りで歩いています。甘くロマンティックな感情にひたりながら、女性は夢で見たあの人の腕に抱かれている姿を夢想します。霞がかった優しい自然からインスピレーションを得て、調香師のジャック・ゲランはアイリス、バイオレット、カーネーションが織りなすパウダリーな花々のブーケをヴァニラで包みました。奥ゆかしくも確固たる個性をもつ、センチメンタルでロマンティックな女性を描いた繊細なブーケです。永遠に色褪せない優美さをたたえた、香りの水彩画を表現しています。
〈アプレ ロンデ〉は、多彩な陰影と色合いを見せるアニスシードのトップとともに香り立ちます。続いてアイリス、バイオレット、ヴァニラのアクセントが効いたパウダリーなフローラルノートが香ります。その香りは、朝露をまとった下草の上の散歩を想起させます。
つけたては爽やかで華やかな香り。少し酸味の効いた花の香りは、スミレのお酒をその昔買って飲んでいたことを思い出す香りです。ムエットの上ではアニスの香りも少し感じ取れます。トルコ料理店で出されたアニスのお酒がこんな香りを含んでいた記憶があります。八角(スターアニス)じゃないほうのアニスって、スパイスというより花のような香りなんですよね。
花々のブーケって書いてるけど、お花屋さんで束ねてもらうようなブーケじゃなくて、野の花を摘んで集めた手作りのブーケ、みたいな印象の香りです。
公式の説明文にはパウダリーとあるけど、言うほどパウダリーな印象なそこまで強くありません(シャリマーがパウダリーすぎる)。「香りの水彩画」という表現に納得できるくらい、淡く繊細な香りがします......って思ったけどこれEDPじゃなくてEDTだからかな?(もしかして配合の濃度規制でEDPが作れないとかあるのかな......)
それにしても、この香りが1906年ってすごすぎる......。すごくきれいな香りで、粗悪なフォロワーを想起させるような印象もない香りです。あえて言うなら、ミドルノート以降はやや石鹸やシャンプーっぽいかな?でもそれらのほうがより人工的な印象。こっちは石鹸やシャンプーにあるような棘のある香りではない印象です。柔らかく清潔感もあり、「毎日つけられそう」と思える香りですね。
ミドル以降はなにかに似てるとおもったら、Santa Maria Novellaのマッジオウォーターの香りでした。あちらも柔らかい花々の香りでできています。
マッジオウォーターjp.smnovella.com
サンタ・マリア・ノヴェッラのマッジオウォーターは、アイリス、ローズ、ブルームのフローラルブーケで春の美しさを讃えた、エレガントなアロマティックウォーターです。リフレッシュローションとして、または軽いボディフレグランスとしてお使いいただけます。
(上記サイトより引用)
あっ、アイリスがAprès L’Ondéeと共通している!もしかして私、アイリスの香り好きなのかも?
L'Heure Bleue(1912年)オーデトワレ
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“蒼の時”——それは昼が夜を優しく抱きしめ、世界が静寂に包まれる時間です。1912年に誕生した〈ルール ブルー〉は、青の色調に満たされた、
静寂と優美さの瞬間の調和を表現しています。嗅覚というキャンバスを使って印象主義の絵画を描くように、調香師のジャック・ゲランは、バイオレットとアイリスの香りにクリーミーで甘いヴァニラを加えて、フレッシュでありながらも温かみのあるニュアンスを残す魅惑的なフレグランスを創り出しました。アンバリーでフローラルな香りとともに、永遠の愛の物語が紐解かれていきます。夜が「まだ星を見つけられずにいる時間」とジャック・ゲランが表現した、時が止まったかのような青の時間を表現した〈ルール ブルー〉には、永遠がもたらす歓喜によってひとつになることが定められたふたりのソウルメイトの出会いが刻まれています。
ブルーの色調が美しいアイリスとバイオレットに満たされた、永遠の愛の伝説
アニスシードの大胆さとベルガモットのフレッシュさに満たされたトップがうっとりとする香りを放ちます。ハートは、官能的なネロリとカーネーションのアコードによる、繊細さにあふれた香りです。アンバリーでパウダリーなベースは、パウダリーなアイリスや芳醇なヴァニラ、ベンゾインとトンカビーンの香りによって魅力を増します。
つけたてはさわやかで甘い香り、けれどすぐにパウダリーなおそらくアイリスの香りに変化します。アイリスと一緒に澄み切ったネロリがあるのもわかりました。ネロリのフローラルウォーターとも嗅ぎ比べてみましたが、ルールブルーのほうがより複雑な香りがします(そりゃそうか)。ただし、オーデトワレなので香り自体はとても繊細です。
時間が経つと、アイリスを中心にやわらかい甘い香りに変化しました。これがベンゾインとトンカビーンかもしれません。
ミツコ(1919年)オーデパルファン
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「ミツコ」は、フランスの作家クロード・ファレールの小説『ラ・バタイユ』のヒロインの名前でもあります。
日本の海軍総督の若妻ミツコは、敵国の英国士官に恋をし、夫人という身でありながらも、情熱的な「禁じられた恋」 に苦悩します。
1919年、調香師ジャック・ゲランは、小説のヒロインにインスパイアされ、微かにジェンダーレスでありながらも、これ以上ないほどに女性的なシプレーのフレグランス〈ミツコ〉を生み出しました。
フルーティでありながらまろやかなスパイシーさを併せ持つピーチアコードと、ウッディなパチュリを世界で初めて組み合わせることで、このフレグランスにこれまでに類を見ない現代性をもたらしました。禁断の果実の大胆な組み合わせによって誕生した、革新的でアヴァンギャルドなフレグランスの〈ミツコ〉は、あえてマスキュリンな側面を垣間見せる、強い女性像のシンボルとなったのです。
「バランスと独創性の傑作」と称される〈ミツコ〉は、フルーティなピーチノートにジャスミンとメイローズが溶け合う香り。ベースノートでは、アンダーグロースとベチバーによるスパイシーノートが漂います。
つけたてはさっぱりした香り、でも次第にふわりと華やかな香りに変化していきます。いうほどピーチを感じません。桃、どこにあったの?
......と思ったら、公式ページに解説がありました。
ピーチ アコードは、ゲランの歴代調香師たちが創作したゲラン独自のクリエイションです。まろやかなピーチのフルーティな香りを表現しています。
どうやら桃の香料を使っているということではなく、ピーチ アコードと呼ばれる香料の組み合わせがあるようです。
時間が経ってくると、白檀とはちがうんでしょうけど、白檀にも系統が似てるような、お香のような深みのある香りがだんだんと前に出てきます。これがベチバーなのか......?(ベチバーの香りを特定できていない)
この煙のような線香のような香りが個人的にかなり気に入ってしまい、だいぶ好きになった香水です。この香りが1919年に存在したとは!(全く同じではないんだろうけど!)
なお、香りの系統としてはシプレ系にあたるんだそうです。
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Shalimar(1925年)オーデパルファン
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パリ万博でお披露目されたらしい。
インドの大帝と愛妃の情熱的な愛の物語に感銘を受けて誕生した〈シャリマー〉。
サンスクリット語で“愛の宮殿”を意味するこのフレグランスは、ふたりが誓い合った永遠の愛を象徴する、情熱をかき立てる官能的な香りです。
フレグランス界を代表するアンバー系フレグランスとして知られる〈シャリマー〉は、くすぶるような、それでいてかすかな気高さを感じさせる香りが魅力。禁断の愛を思わせるセンシュアルな香りが肌を包みこみます。
レイモン・ゲランがデザインした〈シャリマー〉のボトルは、1925年にパリ万国博覧会で最高賞を受賞。
その曲線は有名なシャリマーの庭園の泉からイメージされたもの。扇形の透明なサファイア色のキャップは、シャリマー庭園に永遠に流れる噴水を象徴しています。
官能的でセンシュアルな香りの〈シャリマー オーデパルファン〉。トップノートは爽やかなフローラルとベルガモット。アイリス、ジャスミン、ローズのハートノートが温かく包み込み、ヴァニラ、バルサム、トンカビーンが、この伝説的なフレグランスに存在感とセンシュアリティをもたらします。ゲランのフレグランスを唯一無二のものにするシグネチャーである「ゲルリナーデ」のノートも感じさせます。
ゲランの伝説的な香りであるシャリマー(2025年で100周年)、果たしてどんな香りやら.....と試してみたところ。
あーっ!おばあちゃんの化粧棚の香り!うろ覚えのマダムジュジュの香りの記憶も蘇ってきました。あまりにも知っている香り。いや、既知のそれらの香りに比べたらだいぶ上品な仕上がりで残り香もとてもきれいなんですが、なんだろうこの感覚......。
例えるならば、
- ネットミーム化でいじられ続けた漫画の一コマが出てくる原作漫画を読んだときの感覚
- 嘉門達夫に替え歌されてしまったクラシック曲の原曲を聞いた時に思わず替え歌の歌詞を口ずさんでしまう感じ
- 数々の戦闘機ゲームや戦闘機アニメを玉石混交に見たあとに初めて見た「トップガン」と「スターウォーズEP4」
とまあこんな感じの衝撃がありました。陳腐化、という言葉は原作であるシャリマー側にはふさわしくないと感じます。むしろなんというか、「フォロワーが多すぎる」「下位互換が多すぎる」というべきでしょう。
いい香りなんです。時間の遷移とともに出てくるバルサムと思しき重みがいい感じなんです。いい感じなんだけど、その前のトップノートで記憶の中でちらつく存在が多すぎる!主に祖母の化粧台の周りで!!
それもおそらく、祖母がシャリマーを使っていたという話ではなく、祖母の化粧台の周りにシャリマーの香りを真似た美容用品がたくさんあった、ということなのだろうと思うのです。
シャリマーは悪くない。あと瓶(高い方)かっこいいよね。
Jean Paul Guerlain (1937年 - )
ゲラン家の4代目調香師。2002年にゲラン調香師を退任している。なおゲラン(ブランド)は1994年にLVMHのグループ傘下に入っている。
Vetiver オーデトワレ(1959年)
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※Vetiver パルファンのほうは2024年にデルフィーヌ・ジェルクが調香したもの
1950年代、ゲランはベチバーの根をベースにした、かつてないフレグランスづくりに着手。試行錯誤を経て、夜明けの淡い光の中で息づく、大地の呼吸を思い起こさせる微妙な配合に成功しました。それはまさに、世界が初めて迎えた夜明けのイメージ。ウッディな香りのハーモニーと、スパイスとタバコによる上品なエレガンスが、その魅力をいっそう高めています。
ナチュラルで落ち着きのある、エレガントな香り。
この香りを際立たせているのは、ベチバー、トンカビーン、ナツメグ、タバコをベースにした、斬新なハーモニー。トップに広がるのはオレンジ、ベルガモット、レモンといった柑橘類のすっきりとしたフレッシュな香り。ハートにはナツメグやペッパーなどのスパイスの香りが高まり、最後はベチバー、タバコ、トンカビーン。真のエレガンスを体現する、フレッシュでウッディなハーモニーを奏でます。
肌につけた瞬間に「あっこれ知ってる!草刈りのあとの香りだ!」となりました。けれどただむせ返るような青臭い香りではなく、爽やかでスッキリシャッキリした印象があります。ミント以外でこんなシャッキリ感が出せてることが意外で不思議な感じ。エッジの立ち方が鋭くて、確かに男性らしい香りがします。この点ジッキーのほうがラベンダーなどが含まれるからか華やかな香りだなとも思います。
最初のスッキリシャッキリが消えていくと、段々と奥ゆかしい木の香りがしてきます。「いいとこの香り」みたいな香りです。いいホテルとか、いい客間とか、そういうイメージの香り。いい意味で、人の香りというより空間の香りという印象。「わーっ、お高い所来ちゃった」と思わせる香り。
説明文の「フレッシュでウッディなハーモニー」って矛盾してない?って思ってたけど、言われてみるとたしかに、これはフレッシュでウッディ。不思議と共存してますね。なおフレッシュな木の香り(=切り出した材木の香り)ではないです。
ムエットに吹き付けてみると、今度は「あれ?ジンってこんな香りじゃなかったっけ?」って思ってしまう香り。ジュニパーベリーは入ってなさそうなんですが、そういう爽やかさとスパイシーさ(唐辛子とかマスタードとは別のスパイシー)を感じます。
※ちなみに、後年(2024年)に発売されたVetiver パルファンのほうにはジンの香りが入ってるらしいです。
Habit Rouge(1965年)オーデトワレ
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シトラスの香りが爽やかなクラシック エレガンス。
1965年、〈アビルージュ〉はフレグランス史上初のアンバー系メンズ フレグランスとして誕生。ゲランの馬術に対する情熱を表現した、センシュアルで大胆なヴァニラの香りは大きな衝撃を与えました。〈アビルージュ〉は洗練された教養を兼ね備えた、すべての“挑戦するダンディな男性”に向けたもの。情熱的に生き、官能性が際立つ男性のためのフレグランスです。
大胆で情熱的、ダイナミックな香り。
アンバーな香りの中にシトラスが顔をのぞかせ、温かみのあるヴァニラがアクセントを加えることで、類のないコントラストと均整のとれた香りを両立しています。〈アビルージュ〉はスパイシーでウッディなハートに存在感を主張。ネロリとジャスミンがニュアンスを添えます。レザーとウードのベースを、ヴァニラとパチュリの甘さが和らげています。
香りの秘密
世界初のオリエンタル メンズ フレグランスとして、男性向けシャリマーとも称される〈アビルージュ〉。
ベルガモット、バニラ、パチュリ、レザーといった天然素材を使った、ゲランを象徴する香りのブレンド“ゲルリナーデ”が活かされています。
ゲランの数々の名香を彩ってきた官能の香り“ゲルリナーデ”。〈アビルージュ〉は他に追随を許さない、スタイリッシュさを持ち合わせています。
つけたてはバニラがまず通り過ぎ、そのすぐ後に白檀が出てくる印象があります。バニラだけど甘すぎないのは白檀のおかげかも知れません。(説明文に白檀の名前出てこないけど、香り的にはたぶん入ってると思う......)
「男性向けシャリマー」とも言われているようですが、本家シャリマーよりもつけやすい印象です(本家シャリマーではあまりにも想起させる既製品が多すぎるため)。私自身がわりとユニセックスな香りが好きなほうなのかもしれません。
時間が経つと、おそらくアイリスと思しきパウダリーな香りがほんのりと香ってきます。これはゲルリナーデに含まれるアイリスなのかな......?それが白檀(たぶん)と合わさって、甘すぎない仕上がりとなっています。
※アビルージュ パルファンのほうはディルフィーヌ・ジェルクの調香
Samsara(1989年)
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彼女は、調和を見つけました。そして自分自身と世界との一体感を感じています。静寂をたたえた美しさと充実感によって、彼女は光り輝きます。調香師のジャン・ポール・ゲランは、一度も香水をまとったことのない女性のために洗練されたウッディでアンバリーなフレグランスを創作しました。ジャン・ポール・ゲランは、オリエント旅行から貴重なジャスミンやサンダルウッド、そして神々への捧げ物として寺院で使われる神聖な精油を持ち帰り、イランイランとヴァニラで包みました。サンスクリット語で“永遠の再生/輪廻”を意味する〈サムサラ〉は、単なるステイトメント以上の存在です。それは、狂おしいまでに魅惑的であると同時に、神聖な真の愛の香りを永遠に体現する絶対的な愛の純粋な表現です。
ジャスミンとサンダルウッドのバランスが燦然と煌めく、聖なる愛の伝説
〈サムサラ〉は、ジャスミンの花々を主役に据えたトップとともに花開きます。日差しを想起させるイランイランの花の香りが、温かみのあるサンダルウッドと結びつくことでさらに強調されます。最後に、アイリス、トンカビーン、ヴァニラがイランイランとサンダルウッドの香りを引き立てながらも見事にまとめ上げ、芳しい余韻を残します。
つけた瞬間から華やかさと荘厳さが共存している香り。改めて嗅ぐと思ったよりも花の香りがちゃんとあって、白檀だけじゃないですね。透き通った甘さがある感じがします。
そこから時間が経つと、アイリス、トンカビーン、ヴァニラのいつもの三人組がパウダリーに甘く香ってきます。バニラってこの組み合わせになると「バニラです!」みたいな主張をしてこなくて、ハーモニーの一部になってくれるので面白いなと思っています。
Héritage(1992年)オーデトワレ
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〈エリタージュ〉は過ぎ去った時代に心を馳せながらも、明日を生きる男性へ向けたフレグランス。トップに広がるのはアロマティックなフレッシュさ。スパイスのほのかな温かみが続き、ラストにはウッディとオリエンタルの香りが広がります。
伝統を守りつつ、新たな精神の先駆けともなる男性のための〈エリタージュ〉。
洗練された温かみをもつ、本物の香り
みずみずしさにあふれたレモンとベルガモットが、アロマティックなラベンダーの風と出逢うトップ。ハートはコリアンダーやピンクペッパーなどのフレッシュでスパイシーな香り。最後にパチュリを伴ったリッチなオリエンタルと、ウッディなベースが香ります。
〈エリタージュ〉は、ゲランで代々調合の秘密が守られてきたブレンドを指す“ゲルリナーデ”という言葉が初めて使われたフレグランスです。
ベルガモット、パチュリ、トンカビーン、バニラなどの天然素材が使われ、ゲランらしさにあふれた独自の余韻を醸し出します。
つけた瞬間の第一印象は「華やか!」でした。えっこれがメンズのオーデトワレ?!確かにシャープネスは高めなんですけど、ベチバーオーデトワレに比べたらだいぶ甘めの香り。この華やかさはゲルリナーデによるものなのかも。
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ゲランのシグネチャー <ゲルリナーデ>
1921年以来、ゲランのフレグランスを象徴するのが、唯一無二の香り<ゲルリナーデ>です。
バニラ、ベルガモット、トンカビーン、アイリス、ローズ、ジャスミンというゲランが愛してやまない6つの天然香料の総称です。
ゲルリナーデ、おそらくですがアイリスが入ってるところと、ローズが主役じゃなくて脇役を担ってそうなところも私が好きな理由かもしれません。だけど花の香りだけじゃないのはトンカビーンのおかげ?
そしてウッディなベースが底の方で支えているこの安定感。私が木の香り好きなのもあるんでしょうけど。
これはかっこいいお姉さんにつけててもらいたい香りですね。クールなバチイケお姉さんの残り香としてこれを嗅ぎたい。
Double Vanille(2007年)
ジャン=ポール・ゲランの最後の作品とも呼ばれている香水。以前のブログでもレビューしましたが改めて。
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ドゥーブル ヴァニーユは、ウッディでアンバーな香りがここではないどこかへと誘います。
このコンポジションでは、過剰なほどのヴァニラが、スモーキーでウッディ、そして芳香なファセットを表します。ジャスミン、イランイラン、ベンゾイン、シダーの香りに包まれ、ゲランの香水は、エキゾチックな逃避行や長い船旅を思い起こさせます。これは、ラムの香りとスパイスの木箱が誘う壮大な探検です。
スプレーした直後からふわりと香るバニラの香り。でもバニラが通り過ぎると今度は華やかさの向こうに古びた木の香りがしてきます。今回の私の肌のコンディションではかなり木の香りが前面に出てくる印象がありました。お香っぽさマシマシなのでそれはそれで好きです。
やっぱりこういう移り変わりが見える香水は好きですね。
Celesで取扱がなかったシリーズ
個人的に「次こそ嗅いでみたい」と思ってるものを、メモ代わりに記載しておきます。
夜間飛行(1933年)- Jacques Edouard Guerlain
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その決意と同じくらい人々を魅了する気品と美しさと備えた彼女は、男性の世界に生きる女性。パイロットのスーツをまとい、危険と隣り合わせの飛行機に乗り込む瞬間、そのオーラは人々を虜にします。フランスの有名な女性パイロット、エレーヌ・ブーシェを想起させる冒険心に満ちた女性像をもとに、調香師のジャック・ゲランはアンバーの温かみを感じさせるフローラルでウッディな香りが添えられた、謎めいたシプレーの香りを調香しました。ジャック・ゲランの友人で作家のアントワーヌ・ド・サン・テグジュペリの小説『夜間飛行』からインスパイアされたフレグランス。運命の夜間飛行によって永遠に引き離されてしまう若い恋人たちを描く〈夜間飛行〉は、トップに香り立つガルバナムのグリーンでフローラルな香りとともに飛び立ち、スパイスと下草の完璧なバランスを奏でながら空を巡航します。夜空に輝く永遠の光を表現した、詩情あふれるシグネチャーです。
Celesにサンプル在庫無し......!!飛行機好きの夫と息子が居る私としてはぜひ嗅いでみたい香りだったけれど、残念......!!
Chamade (1969年)- Jean Paul Guerlain
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激動の1960年代後半、彼女は社会を吹き抜ける自由の風を全身で受け止めます。フランソワーズ・サガンの小説『シャマード(邦題:熱い恋)』の言葉に胸をときめかせながら、自らの運命を司る、男性と同等の存在であることを主張します。サガンの傑作と1960年代の社会革命のエネルギーからインスピレーションを得て、調香師のジャン・ポール・ゲランは、自らの解釈に基づいて当時の規範を打ち破る〈シャマード〉を創作しました。すべての自由な女性に捧げられた〈シャマード〉。グリーンでアンバリーなフローラルノートが、ダイナミックなヒアシンスのアコードとヴァニラを基調としたガルバナムの香りを添えたクロスグリの花のつぼみのフルーティなアクセントに溶け込みます。自由に生き、愛することを高らかに歌うフレグランスです。
ナエマ(1979年)- Jean Paul Guerlain
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炎のように激しく燃え上がる気性によって、手の届かない、狂おしいほどに魅力的な存在となる彼女。それはまさに、『千夜一夜物語』に登場するナエマという姫君や、ミシェル・ドルヴィル監督の1968年の映画『めざめ』のカトリーヌ・ドヌーヴのような存在です。ドヌーヴの演技に深く感動した調香師のジャン・ポール・ゲランは、彼女のためのフレグランスを創作しました。フローラルでありながらもフルーティな、魅惑的で謎めいたアンバリーな妙薬は、ジャン・ポール・ゲランが長年手懐けることのできない炎となります。パチュリとサンダルウッドに包まれたピーチのアコードが眩しい、ベルベットのようなローズ アブソリュートにたどり着くまで、ジャン・ポール・ゲランは4年にわたって500以上もの試作品を創りました。激しく燃えるあまり、近づくすべてのものを焼いてしまう、陶酔的な愛のシンボルです。
Jardins de Bagatelle(1983年)- Jean Paul Guerlain
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思いのままに誘惑し、誘惑という行為そのものが与えてくれる、自由奔放な悦びを味わうこと。それは、心躍るシンフォニーを奏でるように生きること。これは、直感的で自分に満足している、快楽主義的な女性の哲学です。自由で自立した女性をイメージしたフレグランスを創作するにあたり、調香師のジャン・ポール・ゲランは、64日以内にバガテール城を建てられるかという、フランス王妃マリー・アントワネットと王弟アルトワ伯の賭けからインスピレーションを得ました。狂乱と称されたバガテール城の庭園は、いまではロマンティシズムのシンボルとなっています。小さな島のような楽園から、ネロリ、ローズ、妖艶なチュベローズを添えたホワイトフラワーに満たされた、輝くように明るい恋のブーケが姿を現します。大胆なまでに魅惑的で、生きる喜びに満ちあふれた恋の狂乱です。
まとめ
今回はゲラン家によるゲランの香水を可能な範囲でまとめてレビューしてみました。ゲラン(特にゲランファミリーのゲラン)、やっぱり好きかも......ってなってます。
ゲラン家以外のゲランといえばデルフィーヌ・ジェルクの Tobacco Honeyを試したことがあるのですが、あれもいい香りだったんですけど、なんか、なんかゲラン家を経験しちゃうと......物足りない気持ちもしてきて......気持ちの問題かもしれないけど......。
Tobacco Honeyの移り変わり方が、ジャズで各楽器が持ち回りでソロパートを演奏するような切り替わり方だったとしたら、ゲラン家のつくる香水の変化はもっと複雑なハーモニーを同時にいろんな楽器が奏でているような印象です。ソロパートを担うのではなく、主旋律を担う楽器が切り替わっていくような......。伴奏がちゃんと居るイメージです。それはゲルリナーデのおかげなんでしょうか?
あとアイリスってフローラルのグループ入れられがちっぽいですけど、実のところあんまりフローラルじゃない気がするんですよね。根だし。パウダリーだし。でもそれゆえか私は好きっぽいんですけども。
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今回はアイリスや、アイリスを含むゲルリナーデがわりと好きということを発見できたのも良かったなと思っております。