香水レビューその4 ジャン=クロード・エレナ編

ジャン=クロード・エレナの香水を少し集めてみたので比較してみます。

ジャン=クロード・エレナといえば、エルメスのナイルの庭などが有名ですね。

私はあとから知りました。

1. Le Couvent - Fort Royal

 私が人生で初めて買った香水です。そして、ジャン=クロード・エレナの名前を初めて知ったきっかけとなった香水でもあります。

 この香りに初めて出会った時、私はブランドのことも調香師のことも何も知らないまま、香りだけで選んだのでした。

Fort Royal [Wild Berries & Benzoin Absolute]fr.lecouventparfums.com

An Oriental trail of vanilla Benzoin, spiced by Wild Berries telling the lush and sweet nature of the Caribbean Islands. Creation unique developed in the tradition of French Haute Parfumerie, base of noble and distant essences inspired by the travels of the botanist Louis Feuillée.

(DeepL翻訳↓)

バニラとベンゾインが織りなすオリエンタルな香りの軌跡に、ワイルドベリーのスパイシーな香りがアクセントを加え、カリブ諸島の豊かで甘美な自然を物語ります。フランスのオート・パルフュメリーの伝統に基づき開発された独自の香りは、植物学者ルイ・フイエの旅から着想を得た、高貴で遥か彼方のエッセンスを基調としています。

 もったりと甘い香りの中がいきなり広がりますが、重すぎないのはワイルドベリーやオレンジの爽やかさがあるからでしょうか。ベンゾインとバニラが織りなす重厚感のある甘い香りがたまらなく良い香りです。

構成

トップノート:ワイルドベリー、オレンジ

ハートノート:シスタス

ベースノート:ベンゾイン、バニラ、パチュリ

 あとから知ったのですが、ジャン=クロード・エレナはバニラ(正確にはバニリン)が嫌いだったらしいです。

boisdejasmin.com

I admit that there are some materials I dislike, with which I feel uncomfortable, vanillin, heliotropin, all that is sweetened in general. 

(DeepL翻訳↓)

確かに、私が苦手で、使うと居心地が悪くなる香料もいくつかあります。バニリンやヘリオトロピン、そして一般的に甘ったるい香りのものはすべてそうです。

 バニラ嫌いなのにこんなにいい香り作れるんだ?!とあとから知って驚きました。でも確かに、甘ったるいのに「食べ物としてのバニラ」を思い出させないような作りになっている気がします。

 ジャン=クロード・エレナはこのFort Royalの他にもいくつかバニラの香水を作っていたようです。エルメスのVANILLE GALANITEなどが有名だったようですね。

 

2. Frederic Malle - Heaven Can Wait

ヘブン キャン ウエイトlatelierdesparfums.jp

クローブやピメント、アンブレットやキャロットシード、そして洗練された魅力を放つアイリス。
ベチバーがフレグランス全体の構成を支えながらいきいきとした印象を与え、ピーチとプラムがまろやかさをもたらします。複雑で控えめな魅力を持ち、人を惹きつけ、抱擁に誘うような、気品あふれる温もりを感じさせるフレグランスです。

つけたては.....酸味のあるフルーツの香り。これ何?梅?と思ったらプラムのようですね。いやこれ梅だと思うわ......。

アンブレットってなんぞやと思ったら最近の植物性ムスクとして使われてる香料だそうです。なんか、なんか苦手っぽい香りがすると思ったら!結構苦手かもしれない!

後半の香りは前半の酸味のある刺激的な香りが薄まってだいぶいい感じになりました。でもつけたての香りが苦手過ぎてちょっとごめんなさいかもしれない......。

この香水好きな人ごめんなさい......。

3. L'ARTISAN PARFUMEUR  - L'EAU D'AMBRE EXTREME

アンバー エクストリーム オードパルファムlatelierdesparfums.jp

貴重な香料を惜しみなく使い、東洋のお香やスパイスにバニラやトルコのバラをブレンド。

アジアの魅惑的なダンスのように情熱を秘め、スパイシーなヘッドノートの後からバニラとトンカビーンの甘い香りが押し寄せてきます。

つけた瞬間からお香の香り、というか線香とかお寺の香りですね。私は好きなんですけど、医療系なので職場ではだめかも......。でもいい香りです。ただの線香じゃなくてほんのり甘さもあってずっと嗅いでいたくなる香り。

 

4. Hermès - Santal Massoia

www.hermes.com

エルメッセンス《サンタル マソイア》は、ニューカレドニア産のサンタル(白檀)とニューギニア産のマソイアという優しく広がる2種類の木の芳しい組み合わせです。「こうした考えから、松ヤニとドライフルーツのように刺激的で意外性のある香りを持つこれら乳香のウッドに、ミルクと花の慣れ親しんだ香りを組み合わせました。」調香師ジャン=クロード・エレナが創り出したこの響きあう香りは、意外なほどの軽やかさで素肌に溶け込みます。

香り
ウッディで包み込むような《サンタル マソイア》は、ミルキーなサンタル(白檀)とベルベットのようなマソイアという2種類の木の謎めいた出会いです。
男女を問わずお使いいただけるエルメッセンスです。 

つけた瞬間、「あ、苦手な香りがする.......」ってなりました。なんで!私白檀好きなのに!白檀と一緒にいる何かがだめです。私の中で車の芳香剤判定(=苦手な香りのたとえ)が出ました。なんの香りがだめなんだろう?

天下のエルメスの香水に対する感想が「嘘くさい!香りがうるさい!」って感情抱いてしまってるの失礼すぎるんですがどうしよう......。

 

おまけ

ところで、Fort Royalに関連して調べていたら、こんな情報が。

www.lecouventparfums.jp

ル クヴォンには4つのコレクションがありますが、
その中でも”シグネチャー”コレクションは、ジャン=クロード・エレナ自身が香料を厳選し、調香しています。
”ボタニカルコロン””シンギュラー オーデパルファム””リマーカブルパルファム”は香りを監修しています。

あっ、調香と監修って、別?!

Fort Royalの瓶をよく見ると、PARFUM REMARQUABLEの文字が......。

つまり、あくまで調香師は別にいて、しかも名前は伏せられてるかもしれなくて、ジャン=クロード・エレナは監修として関わっているだけ、ということだったのかもしれないのです。

 

www.lecouventparfums.jp

とはいえ、上記のトンカのようにシグネチャー系(=ジャン=クロード・エレナが調香)の中にもバニラを使ったものがあるので、これを試してみる機会があれば「エレナのバニラ」を体感できるかもしれません。

 

まとめ

Fort Royalの香りが好きだったので、今回はジャン=クロード・エレナの香りにいくつかチャレンジしてみましたが、今回は好きな香りが L'EAU D'AMBRE EXTREMEの一つしか見つかりませんでした.......かなしい。クラシックゲランは毎回打率高かったのになあ。

というわけで私はゲランのうちの子になったほうが良さそうです。

 

香水レビューその3 ゲランファミリー編

 過去2回のブログでどちらもゲランが気になってきたので、ゲラン特集の記事を書いてみようと思いました。

 ゲランと言っても今のゲランではなく、まだゲラン家一族が調香していた頃のゲランの香水のサンプルをCelesで集めて嗅ぎ比べてみました。

 以前の記事でレビューしているものも改めてレビューしてみたいと思います。

 なお、引用文はだいたいゲランの公式サイトから引用しています。

Aimé Guerlain(1834年-1910年)

 ゲラン家の2代目調香師。ゲルリナーデと呼ばれるゲラン秘伝のレシピを完成させた人らしい。

cahiersdemode.com

Jicky(1889年)

www.guerlain.com

足取りとともに蒔かれる、サスペンスに満ちた誘惑の種。アンドロジナスなカーブが描く曖昧な輪郭とともに、〈ジッキー〉がいたずらっぽく戯れます。「ジッキー」とは、ゲランの調香師エメ・ゲランが留学先のイギリスで出会い、恋に落ちた若く美しい女性の名前です。若かりし頃の恋へのオマージュとして、エメ・ゲランは「世界初のモダンフレグランス」と称えられた、斬新な香りを生み出しました。マスキュリンまたはフェミニンといったすべての香りのルールを破る〈ジッキー〉は、コントラストが描き出すラディカルな戯れで人々を魅了します。レモンとラベンダーをベースにしたフゼアのアコードがひんやりとした冷たさを吹き込む一方、ウッディなヴァニラの香りが温かみと個性をもたらします。女性を惑わせ、男性を虜にする〈ジッキー〉。瞬く間に〈ジッキー〉は男女問わず愛され、「ボトルの中のエモーション」として人々の記憶に永遠に刻まれました。

 

ラベンダーとヴァニラの曖昧さが描く、アンドロジナスな恋の伝説


温かみのあるアンバーから漂うスパイシーな香りが、フレッシュでアロマティックなレモンとラベンダーと溶け合います。その一方、ウッディなヴァニラがフレグランスに大胆なストラクチャーと生き生きとしたキャラクターを与えています。

 私にとっては初めてのフゼア系香水。

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 最初の印象は「キリッとシャープネス!」でした。嫌な感じはしません。夫いわく、「温泉があるちょっといい宿の男性用化粧水の香りを思い出す」んだそうです。なるほどそのへんの製品がフォロワーとしてフゼア系を真似しているんでしょうね。

 幸か不幸か私の身の回りには、お風呂上がりに男性用オーデコロンをはたくような身だしなみに気遣う年長の男性がいなかったため、フゼア系に対して「おじさんの香り」という印象が刷り込まれていません。

 ジッキーの香りは爽やかで清々しいのですが、どこか硬い印象があり、後述のミツコのほうが柔らかい印象がありました。

 時間が経つとくゆらすような香りに変化するのですが、これがクマリンなのかな?現代ではその量を規制されてしまっているクマリンですが、制作当時はどんな香りだったのかと思いを馳せたくなります。例え発売当時(1889年、タイタニックより前!)の香りと現代の製品版の香りが異なっているとしても、その魅力は残っている香水だと思います。

 音楽で例えるなら、「現代の楽器と調律で演奏するバロック時代の名曲」って感じの距離感でしょうか。全く同じ仕上がりではないけれど、それが魅力的であることは変わりません。

Jacques Edouard Guerlain(1874年 – 1963年)

ゲラン家の3代目調香師

Après L’Ondée(1906年)オーデトワレ

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嵐が過ぎ去り、顔を出した太陽の光のもとで、葉や草に残った露がきらきらと輝いています。やわらかな木漏れ日が差すと、温かな空気が辺りを包みはじめます。森の向こうで、神秘的なオーラをまとった美しい女性が繊細な足取りで歩いています。甘くロマンティックな感情にひたりながら、女性は夢で見たあの人の腕に抱かれている姿を夢想します。霞がかった優しい自然からインスピレーションを得て、調香師のジャック・ゲランはアイリス、バイオレット、カーネーションが織りなすパウダリーな花々のブーケをヴァニラで包みました。奥ゆかしくも確固たる個性をもつ、センチメンタルでロマンティックな女性を描いた繊細なブーケです。永遠に色褪せない優美さをたたえた、香りの水彩画を表現しています。

 

〈アプレ ロンデ〉は、多彩な陰影と色合いを見せるアニスシードのトップとともに香り立ちます。続いてアイリス、バイオレット、ヴァニラのアクセントが効いたパウダリーなフローラルノートが香ります。その香りは、朝露をまとった下草の上の散歩を想起させます。

 つけたては爽やかで華やかな香り。少し酸味の効いた花の香りは、スミレのお酒をその昔買って飲んでいたことを思い出す香りです。ムエットの上ではアニスの香りも少し感じ取れます。トルコ料理店で出されたアニスのお酒がこんな香りを含んでいた記憶があります。八角(スターアニス)じゃないほうのアニスって、スパイスというより花のような香りなんですよね。

 花々のブーケって書いてるけど、お花屋さんで束ねてもらうようなブーケじゃなくて、野の花を摘んで集めた手作りのブーケ、みたいな印象の香りです。

 公式の説明文にはパウダリーとあるけど、言うほどパウダリーな印象なそこまで強くありません(シャリマーがパウダリーすぎる)。「香りの水彩画」という表現に納得できるくらい、淡く繊細な香りがします......って思ったけどこれEDPじゃなくてEDTだからかな?(もしかして配合の濃度規制でEDPが作れないとかあるのかな......)

 それにしても、この香りが1906年ってすごすぎる......。すごくきれいな香りで、粗悪なフォロワーを想起させるような印象もない香りです。あえて言うなら、ミドルノート以降はやや石鹸やシャンプーっぽいかな?でもそれらのほうがより人工的な印象。こっちは石鹸やシャンプーにあるような棘のある香りではない印象です。柔らかく清潔感もあり、「毎日つけられそう」と思える香りですね。

 ミドル以降はなにかに似てるとおもったら、Santa Maria Novellaのマッジオウォーターの香りでした。あちらも柔らかい花々の香りでできています。

マッジオウォーターjp.smnovella.com

サンタ・マリア・ノヴェッラのマッジオウォーターは、アイリス、ローズ、ブルームのフローラルブーケで春の美しさを讃えた、エレガントなアロマティックウォーターです。リフレッシュローションとして、または軽いボディフレグランスとしてお使いいただけます。

(上記サイトより引用)

 あっ、アイリスがAprès L’Ondéeと共通している!もしかして私、アイリスの香り好きなのかも?

 

L'Heure Bleue(1912年)オーデトワレ

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“蒼の時”——それは昼が夜を優しく抱きしめ、世界が静寂に包まれる時間です。1912年に誕生した〈ルール ブルー〉は、青の色調に満たされた、
静寂と優美さの瞬間の調和を表現しています。嗅覚というキャンバスを使って印象主義の絵画を描くように、調香師のジャック・ゲランは、バイオレットとアイリスの香りにクリーミーで甘いヴァニラを加えて、フレッシュでありながらも温かみのあるニュアンスを残す魅惑的なフレグランスを創り出しました。アンバリーでフローラルな香りとともに、永遠の愛の物語が紐解かれていきます。夜が「まだ星を見つけられずにいる時間」とジャック・ゲランが表現した、時が止まったかのような青の時間を表現した〈ルール ブルー〉には、永遠がもたらす歓喜によってひとつになることが定められたふたりのソウルメイトの出会いが刻まれています。

 

ブルーの色調が美しいアイリスとバイオレットに満たされた、永遠の愛の伝説

 

アニスシードの大胆さとベルガモットのフレッシュさに満たされたトップがうっとりとする香りを放ちます。ハートは、官能的なネロリとカーネーションのアコードによる、繊細さにあふれた香りです。アンバリーでパウダリーなベースは、パウダリーなアイリスや芳醇なヴァニラ、ベンゾインとトンカビーンの香りによって魅力を増します。

 つけたてはさわやかで甘い香り、けれどすぐにパウダリーなおそらくアイリスの香りに変化します。アイリスと一緒に澄み切ったネロリがあるのもわかりました。ネロリのフローラルウォーターとも嗅ぎ比べてみましたが、ルールブルーのほうがより複雑な香りがします(そりゃそうか)。ただし、オーデトワレなので香り自体はとても繊細です。

 時間が経つと、アイリスを中心にやわらかい甘い香りに変化しました。これがベンゾインとトンカビーンかもしれません。

ミツコ(1919年)オーデパルファン

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「ミツコ」は、フランスの作家クロード・ファレールの小説『ラ・バタイユ』のヒロインの名前でもあります。
日本の海軍総督の若妻ミツコは、敵国の英国士官に恋をし、夫人という身でありながらも、情熱的な「禁じられた恋」 に苦悩します。
1919年、調香師ジャック・ゲランは、小説のヒロインにインスパイアされ、微かにジェンダーレスでありながらも、これ以上ないほどに女性的なシプレーのフレグランス〈ミツコ〉を生み出しました。
フルーティでありながらまろやかなスパイシーさを併せ持つピーチアコードと、ウッディなパチュリを世界で初めて組み合わせることで、このフレグランスにこれまでに類を見ない現代性をもたらしました。禁断の果実の大胆な組み合わせによって誕生した、革新的でアヴァンギャルドなフレグランスの〈ミツコ〉は、あえてマスキュリンな側面を垣間見せる、強い女性像のシンボルとなったのです。

 

「バランスと独創性の傑作」と称される〈ミツコ〉は、フルーティなピーチノートにジャスミンとメイローズが溶け合う香り。ベースノートでは、アンダーグロースとベチバーによるスパイシーノートが漂います。

 つけたてはさっぱりした香り、でも次第にふわりと華やかな香りに変化していきます。いうほどピーチを感じません。桃、どこにあったの?

 ......と思ったら、公式ページに解説がありました。

ピーチ アコードは、ゲランの歴代調香師たちが創作したゲラン独自のクリエイションです。まろやかなピーチのフルーティな香りを表現しています。

 どうやら桃の香料を使っているということではなく、ピーチ アコードと呼ばれる香料の組み合わせがあるようです。

 

 時間が経ってくると、白檀とはちがうんでしょうけど、白檀にも系統が似てるような、お香のような深みのある香りがだんだんと前に出てきます。これがベチバーなのか......?(ベチバーの香りを特定できていない)

 この煙のような線香のような香りが個人的にかなり気に入ってしまい、だいぶ好きになった香水です。この香りが1919年に存在したとは!(全く同じではないんだろうけど!)

 

なお、香りの系統としてはシプレ系にあたるんだそうです。

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Shalimar(1925年)オーデパルファン

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パリ万博でお披露目されたらしい。

インドの大帝と愛妃の情熱的な愛の物語に感銘を受けて誕生した〈シャリマー〉。
サンスクリット語で“愛の宮殿”を意味するこのフレグランスは、ふたりが誓い合った永遠の愛を象徴する、情熱をかき立てる官能的な香りです。

フレグランス界を代表するアンバー系フレグランスとして知られる〈シャリマー〉は、くすぶるような、それでいてかすかな気高さを感じさせる香りが魅力。禁断の愛を思わせるセンシュアルな香りが肌を包みこみます。

レイモン・ゲランがデザインした〈シャリマー〉のボトルは、1925年にパリ万国博覧会で最高賞を受賞。
その曲線は有名なシャリマーの庭園の泉からイメージされたもの。扇形の透明なサファイア色のキャップは、シャリマー庭園に永遠に流れる噴水を象徴しています。

 

官能的でセンシュアルな香りの〈シャリマー オーデパルファン〉。トップノートは爽やかなフローラルとベルガモット。アイリス、ジャスミン、ローズのハートノートが温かく包み込み、ヴァニラ、バルサム、トンカビーンが、この伝説的なフレグランスに存在感とセンシュアリティをもたらします。ゲランのフレグランスを唯一無二のものにするシグネチャーである「ゲルリナーデ」のノートも感じさせます。

 ゲランの伝説的な香りであるシャリマー(2025年で100周年)、果たしてどんな香りやら.....と試してみたところ。

 あーっ!おばあちゃんの化粧棚の香り!うろ覚えのマダムジュジュの香りの記憶も蘇ってきました。あまりにも知っている香り。いや、既知のそれらの香りに比べたらだいぶ上品な仕上がりで残り香もとてもきれいなんですが、なんだろうこの感覚......。

例えるならば、

  • ネットミーム化でいじられ続けた漫画の一コマが出てくる原作漫画を読んだときの感覚
  • 嘉門達夫に替え歌されてしまったクラシック曲の原曲を聞いた時に思わず替え歌の歌詞を口ずさんでしまう感じ
  • 数々の戦闘機ゲームや戦闘機アニメを玉石混交に見たあとに初めて見た「トップガン」と「スターウォーズEP4」

とまあこんな感じの衝撃がありました。陳腐化、という言葉は原作であるシャリマー側にはふさわしくないと感じます。むしろなんというか、「フォロワーが多すぎる」「下位互換が多すぎる」というべきでしょう。

 いい香りなんです。時間の遷移とともに出てくるバルサムと思しき重みがいい感じなんです。いい感じなんだけど、その前のトップノートで記憶の中でちらつく存在が多すぎる!主に祖母の化粧台の周りで!!

 それもおそらく、祖母がシャリマーを使っていたという話ではなく、祖母の化粧台の周りにシャリマーの香りを真似た美容用品がたくさんあった、ということなのだろうと思うのです。

 シャリマーは悪くない。あと瓶(高い方)かっこいいよね。

Jean Paul Guerlain (1937年 - )

 ゲラン家の4代目調香師。2002年にゲラン調香師を退任している。なおゲラン(ブランド)は1994年にLVMHのグループ傘下に入っている。

Vetiver オーデトワレ(1959年)

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※Vetiver パルファンのほうは2024年にデルフィーヌ・ジェルクが調香したもの

1950年代、ゲランはベチバーの根をベースにした、かつてないフレグランスづくりに着手。試行錯誤を経て、夜明けの淡い光の中で息づく、大地の呼吸を思い起こさせる微妙な配合に成功しました。それはまさに、世界が初めて迎えた夜明けのイメージ。ウッディな香りのハーモニーと、スパイスとタバコによる上品なエレガンスが、その魅力をいっそう高めています。

 

ナチュラルで落ち着きのある、エレガントな香り。

この香りを際立たせているのは、ベチバー、トンカビーン、ナツメグ、タバコをベースにした、斬新なハーモニー。トップに広がるのはオレンジ、ベルガモット、レモンといった柑橘類のすっきりとしたフレッシュな香り。ハートにはナツメグやペッパーなどのスパイスの香りが高まり、最後はベチバー、タバコ、トンカビーン。真のエレガンスを体現する、フレッシュでウッディなハーモニーを奏でます。

  肌につけた瞬間に「あっこれ知ってる!草刈りのあとの香りだ!」となりました。けれどただむせ返るような青臭い香りではなく、爽やかでスッキリシャッキリした印象があります。ミント以外でこんなシャッキリ感が出せてることが意外で不思議な感じ。エッジの立ち方が鋭くて、確かに男性らしい香りがします。この点ジッキーのほうがラベンダーなどが含まれるからか華やかな香りだなとも思います。

 最初のスッキリシャッキリが消えていくと、段々と奥ゆかしい木の香りがしてきます。「いいとこの香り」みたいな香りです。いいホテルとか、いい客間とか、そういうイメージの香り。いい意味で、人の香りというより空間の香りという印象。「わーっ、お高い所来ちゃった」と思わせる香り。

 説明文の「フレッシュでウッディなハーモニー」って矛盾してない?って思ってたけど、言われてみるとたしかに、これはフレッシュでウッディ。不思議と共存してますね。なおフレッシュな木の香り(=切り出した材木の香り)ではないです。

 ムエットに吹き付けてみると、今度は「あれ?ジンってこんな香りじゃなかったっけ?」って思ってしまう香り。ジュニパーベリーは入ってなさそうなんですが、そういう爽やかさとスパイシーさ(唐辛子とかマスタードとは別のスパイシー)を感じます。

※ちなみに、後年(2024年)に発売されたVetiver パルファンのほうにはジンの香りが入ってるらしいです。

Habit Rouge(1965年)オーデトワレ

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シトラスの香りが爽やかなクラシック エレガンス。

1965年、〈アビルージュ〉はフレグランス史上初のアンバー系メンズ フレグランスとして誕生。ゲランの馬術に対する情熱を表現した、センシュアルで大胆なヴァニラの香りは大きな衝撃を与えました。〈アビルージュ〉は洗練された教養を兼ね備えた、すべての“挑戦するダンディな男性”に向けたもの。情熱的に生き、官能性が際立つ男性のためのフレグランスです。

 

大胆で情熱的、ダイナミックな香り。

アンバーな香りの中にシトラスが顔をのぞかせ、温かみのあるヴァニラがアクセントを加えることで、類のないコントラストと均整のとれた香りを両立しています。〈アビルージュ〉はスパイシーでウッディなハートに存在感を主張。ネロリとジャスミンがニュアンスを添えます。レザーとウードのベースを、ヴァニラとパチュリの甘さが和らげています。

 

香りの秘密
世界初のオリエンタル メンズ フレグランスとして、男性向けシャリマーとも称される〈アビルージュ〉。
ベルガモット、バニラ、パチュリ、レザーといった天然素材を使った、ゲランを象徴する香りのブレンド“ゲルリナーデ”が活かされています。
ゲランの数々の名香を彩ってきた官能の香り“ゲルリナーデ”。〈アビルージュ〉は他に追随を許さない、スタイリッシュさを持ち合わせています。

 つけたてはバニラがまず通り過ぎ、そのすぐ後に白檀が出てくる印象があります。バニラだけど甘すぎないのは白檀のおかげかも知れません。(説明文に白檀の名前出てこないけど、香り的にはたぶん入ってると思う......)

 「男性向けシャリマー」とも言われているようですが、本家シャリマーよりもつけやすい印象です(本家シャリマーではあまりにも想起させる既製品が多すぎるため)。私自身がわりとユニセックスな香りが好きなほうなのかもしれません。

 時間が経つと、おそらくアイリスと思しきパウダリーな香りがほんのりと香ってきます。これはゲルリナーデに含まれるアイリスなのかな......?それが白檀(たぶん)と合わさって、甘すぎない仕上がりとなっています。

※アビルージュ パルファンのほうはディルフィーヌ・ジェルクの調香

Samsara(1989年)

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彼女は、調和を見つけました。そして自分自身と世界との一体感を感じています。静寂をたたえた美しさと充実感によって、彼女は光り輝きます。調香師のジャン・ポール・ゲランは、一度も香水をまとったことのない女性のために洗練されたウッディでアンバリーなフレグランスを創作しました。ジャン・ポール・ゲランは、オリエント旅行から貴重なジャスミンやサンダルウッド、そして神々への捧げ物として寺院で使われる神聖な精油を持ち帰り、イランイランとヴァニラで包みました。サンスクリット語で“永遠の再生/輪廻”を意味する〈サムサラ〉は、単なるステイトメント以上の存在です。それは、狂おしいまでに魅惑的であると同時に、神聖な真の愛の香りを永遠に体現する絶対的な愛の純粋な表現です。

 

ジャスミンとサンダルウッドのバランスが燦然と煌めく、聖なる愛の伝説


〈サムサラ〉は、ジャスミンの花々を主役に据えたトップとともに花開きます。日差しを想起させるイランイランの花の香りが、温かみのあるサンダルウッドと結びつくことでさらに強調されます。最後に、アイリス、トンカビーン、ヴァニラがイランイランとサンダルウッドの香りを引き立てながらも見事にまとめ上げ、芳しい余韻を残します。

 つけた瞬間から華やかさと荘厳さが共存している香り。改めて嗅ぐと思ったよりも花の香りがちゃんとあって、白檀だけじゃないですね。透き通った甘さがある感じがします。

 そこから時間が経つと、アイリス、トンカビーン、ヴァニラのいつもの三人組がパウダリーに甘く香ってきます。バニラってこの組み合わせになると「バニラです!」みたいな主張をしてこなくて、ハーモニーの一部になってくれるので面白いなと思っています。

Héritage(1992年)オーデトワレ

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〈エリタージュ〉は過ぎ去った時代に心を馳せながらも、明日を生きる男性へ向けたフレグランス。トップに広がるのはアロマティックなフレッシュさ。スパイスのほのかな温かみが続き、ラストにはウッディとオリエンタルの香りが広がります。

伝統を守りつつ、新たな精神の先駆けともなる男性のための〈エリタージュ〉。

 

洗練された温かみをもつ、本物の香り

みずみずしさにあふれたレモンとベルガモットが、アロマティックなラベンダーの風と出逢うトップ。ハートはコリアンダーやピンクペッパーなどのフレッシュでスパイシーな香り。最後にパチュリを伴ったリッチなオリエンタルと、ウッディなベースが香ります。

 

〈エリタージュ〉は、ゲランで代々調合の秘密が守られてきたブレンドを指す“ゲルリナーデ”という言葉が初めて使われたフレグランスです。
ベルガモット、パチュリ、トンカビーン、バニラなどの天然素材が使われ、ゲランらしさにあふれた独自の余韻を醸し出します。

 つけた瞬間の第一印象は「華やか!」でした。えっこれがメンズのオーデトワレ?!確かにシャープネスは高めなんですけど、ベチバーオーデトワレに比べたらだいぶ甘めの香り。この華やかさはゲルリナーデによるものなのかも。

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ゲランのシグネチャー <ゲルリナーデ>
1921年以来、ゲランのフレグランスを象徴するのが、唯一無二の香り<ゲルリナーデ>です。
バニラ、ベルガモット、トンカビーン、アイリス、ローズ、ジャスミンというゲランが愛してやまない6つの天然香料の総称です。

 ゲルリナーデ、おそらくですがアイリスが入ってるところと、ローズが主役じゃなくて脇役を担ってそうなところも私が好きな理由かもしれません。だけど花の香りだけじゃないのはトンカビーンのおかげ?

 そしてウッディなベースが底の方で支えているこの安定感。私が木の香り好きなのもあるんでしょうけど。

 これはかっこいいお姉さんにつけててもらいたい香りですね。クールなバチイケお姉さんの残り香としてこれを嗅ぎたい。

 

Double Vanille(2007年)

 ジャン=ポール・ゲランの最後の作品とも呼ばれている香水。以前のブログでもレビューしましたが改めて。

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ドゥーブル ヴァニーユは、ウッディでアンバーな香りがここではないどこかへと誘います。

このコンポジションでは、過剰なほどのヴァニラが、スモーキーでウッディ、そして芳香なファセットを表します。ジャスミン、イランイラン、ベンゾイン、シダーの香りに包まれ、ゲランの香水は、エキゾチックな逃避行や長い船旅を思い起こさせます。これは、ラムの香りとスパイスの木箱が誘う壮大な探検です。

 スプレーした直後からふわりと香るバニラの香り。でもバニラが通り過ぎると今度は華やかさの向こうに古びた木の香りがしてきます。今回の私の肌のコンディションではかなり木の香りが前面に出てくる印象がありました。お香っぽさマシマシなのでそれはそれで好きです。

 やっぱりこういう移り変わりが見える香水は好きですね。

 

Celesで取扱がなかったシリーズ

 個人的に「次こそ嗅いでみたい」と思ってるものを、メモ代わりに記載しておきます。

夜間飛行(1933年)- Jacques Edouard Guerlain

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その決意と同じくらい人々を魅了する気品と美しさと備えた彼女は、男性の世界に生きる女性。パイロットのスーツをまとい、危険と隣り合わせの飛行機に乗り込む瞬間、そのオーラは人々を虜にします。フランスの有名な女性パイロット、エレーヌ・ブーシェを想起させる冒険心に満ちた女性像をもとに、調香師のジャック・ゲランはアンバーの温かみを感じさせるフローラルでウッディな香りが添えられた、謎めいたシプレーの香りを調香しました。ジャック・ゲランの友人で作家のアントワーヌ・ド・サン・テグジュペリの小説『夜間飛行』からインスパイアされたフレグランス。運命の夜間飛行によって永遠に引き離されてしまう若い恋人たちを描く〈夜間飛行〉は、トップに香り立つガルバナムのグリーンでフローラルな香りとともに飛び立ち、スパイスと下草の完璧なバランスを奏でながら空を巡航します。夜空に輝く永遠の光を表現した、詩情あふれるシグネチャーです。

 Celesにサンプル在庫無し......!!飛行機好きの夫と息子が居る私としてはぜひ嗅いでみたい香りだったけれど、残念......!!

Chamade (1969年)- Jean Paul Guerlain

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激動の1960年代後半、彼女は社会を吹き抜ける自由の風を全身で受け止めます。フランソワーズ・サガンの小説『シャマード(邦題:熱い恋)』の言葉に胸をときめかせながら、自らの運命を司る、男性と同等の存在であることを主張します。サガンの傑作と1960年代の社会革命のエネルギーからインスピレーションを得て、調香師のジャン・ポール・ゲランは、自らの解釈に基づいて当時の規範を打ち破る〈シャマード〉を創作しました。すべての自由な女性に捧げられた〈シャマード〉。グリーンでアンバリーなフローラルノートが、ダイナミックなヒアシンスのアコードとヴァニラを基調としたガルバナムの香りを添えたクロスグリの花のつぼみのフルーティなアクセントに溶け込みます。自由に生き、愛することを高らかに歌うフレグランスです。

ナエマ(1979年)- Jean Paul Guerlain

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炎のように激しく燃え上がる気性によって、手の届かない、狂おしいほどに魅力的な存在となる彼女。それはまさに、『千夜一夜物語』に登場するナエマという姫君や、ミシェル・ドルヴィル監督の1968年の映画『めざめ』のカトリーヌ・ドヌーヴのような存在です。ドヌーヴの演技に深く感動した調香師のジャン・ポール・ゲランは、彼女のためのフレグランスを創作しました。フローラルでありながらもフルーティな、魅惑的で謎めいたアンバリーな妙薬は、ジャン・ポール・ゲランが長年手懐けることのできない炎となります。パチュリとサンダルウッドに包まれたピーチのアコードが眩しい、ベルベットのようなローズ アブソリュートにたどり着くまで、ジャン・ポール・ゲランは4年にわたって500以上もの試作品を創りました。激しく燃えるあまり、近づくすべてのものを焼いてしまう、陶酔的な愛のシンボルです。

Jardins de Bagatelle(1983年)- Jean Paul Guerlain

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思いのままに誘惑し、誘惑という行為そのものが与えてくれる、自由奔放な悦びを味わうこと。それは、心躍るシンフォニーを奏でるように生きること。これは、直感的で自分に満足している、快楽主義的な女性の哲学です。自由で自立した女性をイメージしたフレグランスを創作するにあたり、調香師のジャン・ポール・ゲランは、64日以内にバガテール城を建てられるかという、フランス王妃マリー・アントワネットと王弟アルトワ伯の賭けからインスピレーションを得ました。狂乱と称されたバガテール城の庭園は、いまではロマンティシズムのシンボルとなっています。小さな島のような楽園から、ネロリ、ローズ、妖艶なチュベローズを添えたホワイトフラワーに満たされた、輝くように明るい恋のブーケが姿を現します。大胆なまでに魅惑的で、生きる喜びに満ちあふれた恋の狂乱です。

まとめ

 今回はゲラン家によるゲランの香水を可能な範囲でまとめてレビューしてみました。ゲラン(特にゲランファミリーのゲラン)、やっぱり好きかも......ってなってます。

 ゲラン家以外のゲランといえばデルフィーヌ・ジェルクの Tobacco Honeyを試したことがあるのですが、あれもいい香りだったんですけど、なんか、なんかゲラン家を経験しちゃうと......物足りない気持ちもしてきて......気持ちの問題かもしれないけど......。

 Tobacco Honeyの移り変わり方が、ジャズで各楽器が持ち回りでソロパートを演奏するような切り替わり方だったとしたら、ゲラン家のつくる香水の変化はもっと複雑なハーモニーを同時にいろんな楽器が奏でているような印象です。ソロパートを担うのではなく、主旋律を担う楽器が切り替わっていくような......。伴奏がちゃんと居るイメージです。それはゲルリナーデのおかげなんでしょうか?

 

 あとアイリスってフローラルのグループ入れられがちっぽいですけど、実のところあんまりフローラルじゃない気がするんですよね。根だし。パウダリーだし。でもそれゆえか私は好きっぽいんですけども。

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 今回はアイリスや、アイリスを含むゲルリナーデがわりと好きということを発見できたのも良かったなと思っております。

香水レビューその2 タバコリーフ編

 さて、前回の記事でもちらっと触れていましたが、私はどうやら香水の香料におけるタバコリーフの香り(≠副流煙の匂い)に惹かれるところがあるようなので、タバコ関連の香水をCelesで集めて嗅ぎ比べてみました。

 

前回の記事はこちら↓

mymemoblog.hatenadiary.com

香水におけるタバコの香りって何?

premierepeau.com

暖かい納屋の乾いた干し草の俵、はちみつのようなプルーンの皮、古い革手袋の内側。タバコアブソリュートはタバコの煙とはまったく異なる香りで、燻製された葉そのものであり、クマリンの香りと果実のような濃さがあり、灰皿よりもトンカ豆に近い香りです。

(上記サイトより引用)

 タバコリーフから抽出したアブソリュート自体を単体で嗅いだことは無いのですが、今回タバコ系香水をいろいろ集めてみた結果、上記の文章の意味が少しわかるような気がしてきました。少し甘くてスモーキーで魅力的な香りが共通しており、「これがタバコの香りか......?」となっています。

 

サンタ・マリア・ノヴェッラ(Santa Maria Novella) - Tabacoo Toscano

 サンタ・マリア・ノヴェッラはもともとマッジオウォーターというアロマウォーターを使っていたので気になっていました。香水界の老舗ということもあり、その歴史にはかなり興味を持っていました。(とはいえ、Tabacco Toscanoが古い時代の香水かというとそういうわけでもなさそうですが......)

 

トバッコ トスカーノjp.smnovella.com

トバッコ トスカーノの香りが放つ、時を超えた魅力に身をゆだねてみてください。トスカーナ産のタバコがもたらす温かくなめらかな香りが、スモーキーなバニラのベースと出会う香りの旅へと誘います。

 

トップノート:
ベルガモット, トスカーナタバコリーフ

ハートノート:
レザー, アンバー, バーチウッド

ベースノート:
シダーウッド, ガイアック, サンダルウッド, ムスク, バニラ

(上記サイトより引用)

 タバコリーフにサンダルウッドにバニラ、私の好きそうなもので構成されています。

 

 吹いてみると、最初にタバコの香りと花の香り(おそらくベルガモット)が現れます。花の香りの揮発は早く、その後ほのかな甘さを伴う木の香りが出てきます。

 「祖父の家の仏間の香りがする......」と思ってしまうのは、シダーウッドとサンダルウッドの影響かもしれません。でも上品なので、懐かしさはありつつも嫌な香りではないです。

Tabacco Toscanoはあくまでオーデコロンなので、それもあって香りが比較的柔らかいのだと思います。

 

メゾンマルジェラ(Maison Margiela) - Jazz Club

 前回記事でもレビューしたのですが、今回は肌に乗せて時間をかけて確認してみました。

 第一印象が「アメリカ!米軍基地!」なのは変わりません。米軍基地のBXで食事してる時のあちらこちらから現地の人のつけてる香りが漂ってくるあの感覚に似ています。

 ゲランなどの時間で変化する香水に慣れてくると、Jazz Clubは時間とともに「なんだかずっとガヤガヤしてる、騒がしい」という印象が出てきます。最後に静かに調和やハーモニーを奏でる余韻を楽しむというよりは、あちらこちらで楽器が音出し練習をしていて一つの音楽の形になっていないような、でもその喧騒すらこの香りの景色であるような印象です。

www.maisonmargiela.com

ニューヨークの中心地に潜む心を浮き立たせるジャズの音色に包まれたプライベートジャズクラブに漂う親密な雰囲気を想起させるレプリカ オードトワレ ジャズ クラブ。空間を包み込む大人の自信を感じさせるスパイシーで豊かなカクテルの香り、サックスの音色とコクのあるウイスキーを思わせる温かい香りが特徴です。ラムアブソリュートとバニラビーンで再現されたアンバーラムの芳醇な香り、タバコリーフとピンクペッパーで再現されたエレガントでスモーキーな香りをお楽しみください。

(上記サイトより引用)

エレガントかな.......?エレガントなのかな......?

タバコについては、最後の残り香の中に少し混じっている感覚はありました。

 

セルジュ・ルタンス(SERGE LUTENS) - シェルギィ

 つけたての香りはの第一印象は、「これはなんの香りだ?!」と混乱させるような印象。何でできているのかわからない、何で構成されているのかがわからない、というような、混乱を最初に感じました。花?干した果実?煙?という感じ。

 けれど肌に乗せると次第に調和してきて、最初の混乱から調和に連れていかれる感じがあります。さながら、使ってる楽器が何なのかわからないくらいの不協和音で始まった現代音楽が、最後にきれいなハーモニーで締めるような香りの遷移。タバコの香りはさり気なく存在している気がします。

 公式の紹介文を確認してみましょう。

www.sergelutens.jp

けだるさに満ちたモロッコの地に、東方から熱風が吹き付ける。

辺りの花や木々、果実など、すべてを一瞬にして吸い込んで 赤いカーテンのように舞い上がり、 熱の中それらを溶かし、結晶させる。

風の去った後。香りだけが熱気のように残る。

(上記サイトより引用)

なんだかわかるような、わからないような.....?

(どうやらセルジュ・ルタンスが全体的にこんな雰囲気のところらしいですが.......)

調香師はクリストファー・シェルドレイク

 

Tom Ford - Tobacco Vanille

甘い系統のタバコリーフにバニラの香り、合いそうだなと思い注文。

meeco.mistore.jp

ロンドンに対するトム フォードの思慕が、スパイスやコニャックの芳醇な香り漂う、イギリスの紳士クラブを思わせるこのフレグランスを誕生させました。
トム フォードは、クリーミーなトンカビーンとバニラ、ココア、ドライフルーツ、甘い香りの樹液を加えることで、クラシックなフレグランスのジャンルをまったく新しく作り変えました。
女性が身につけない限り、何から何まで完全に男性的で、モダンで贅沢な印象の香りに仕上げました。

(上記サイトより引用)

 

 つけたてはフレッシュで爽やかな、フルーティな甘さが目立ちますが、次第に甘ったるい香りがしてきます。その奥にスモーキーで香り豊かなタバコがあるように感じます。

 洋酒とドライフルーツとスパイスの記述が説明文にありましたが、確かに、イギリスのミンスミート(ドライフルーツとスパイスの洋酒漬け)のような香りがします。紳士クラブっていうよりイギリス伝統お菓子のイメージが出てきてしまうのはミンスミートのせいかも。

 説明文中の「何から何まで完全に男性的」というのはよくわからないですが、ラピュタの「おれなぁ、ミンスミートパイが好きなんだ」のセリフのことは思い出してしまいます。

 どうも私はフルーティな香りの中の酸味があまり香水としては好きではないようで、香水にはもっとスモーキーで甘ったるくてもったりしていてほしいと思ってしまうようです。完全に個人の好みの話ですが。

 離れて嗅ぐと酸味が抑えられて甘いバニラとタバコの香りになるので、それはそれで好きかも。

調香師はOlivier Gillotin。

 

Dior - トバカラー

甘い系のタバコ香水ということで注文。

2021年発売 調香師はFrançois Demachy(フランソワ・ドゥマシー)。

www.dior.com

トバカラー、幾千もの色彩の煌めきが散りばめられた、タバコのシルエット。

フッカ(水タバコ)の煙がくゆる薄暗いバザール(市場)の中を、クリスチャン・ディオールが歩いたときに印象を受けた無数の色調を香りで描いたフレグランスです。

温もりのあるアンバーとグルマンが織りなすトバカラーのシルエットは、フルーティーな香りと蜂蜜のアクセントとの間を揺れる、ラメのような煌めきを広げます。

(上記サイトより引用)

 つけたては甘い蜜(ハチミツというより花の蜜のよう)の香りがふわっと立ち上る。その奥に甘いスモーキーな香りがあるけどこれが多分タバコリーフの香り。時間が経つに連れタバコのほうが前に出てくる感じがあります。

 トバカラー、実はムエットに試したときの第一印象はあまり好きではなかったのですが、肌に乗せて試してみたらあら不思議、意外と好きな香りになりました。

 

キリアン(Kilian) - Back to Black

調香師はCalice Becker。Diorのジャドールを作った人なんだそう。

バック トゥ ブラック アフロディジアック オード パルファムlatelierdesparfums.jp

闇夜にこそ輝く目映い星々


気だるいハニーと甘いスパイスが絡み合い、ミステリアスでスモーキーなインセンスのエッセンスとバニラ アブソリュートに包まれて、まるで媚薬のように惹きつけられ虜になってゆく…。ブルーカモミールとシダーウッドは煙に包まれたように漂い、サンダルウッドのノートがグルマンなタバコのハーモニーを完成させると、その印象的な力強さは五感を刺激します。

(上記サイトより引用)

 つけたてはドライフルーツとスパイスの甘さを感じる香り。甘ったるい煙の香りがするのがタバコリーフの香りかも。時間が経つと肌の上でだんだん石鹸のような香りになってきます。名前の割にお上品な香りだな......。

cahiersdemode.com

 このページによると、Back to Blackには「トップノートもミドルノートも実際には存在しない」らしいです。そんなことあるんだ。

 Diorのトバカラーよりもつけやすい香りかもしれません。

 

ゲラン(Guerlain) - Tobacco Honey

調香師はデルフィーヌ・ジェルク(Delphine Jelk)、2023年発売。

www.guerlain.com

アンバーなウッディーノートが奏でる、タバコの新しい解釈


 危険なまでにセンシュアルな素材「タバコ」。タバコアコードがハニーという対照的な素材との出会いによって、その最も美しいファセットを現します。禁断のタバコアコードにハニーの黄金の輝きを吹き込むことで、相反する2つの素材が香りの化学反応を起こします。

 デリシャスなアンバーノートを基調としたタバコアコードをヴァニラとトンカビーン、セサミで包み込み、とろけるようなハニーの輝きを重ねました。アニスとクローブがこれらの香りをより一層引き立てます。甘くクリーミーなサンダルウッドとパワフルなウードを合わせたウッディノートによって、ベースノートの余韻を裏打ちしました。

(上記サイトより引用)

 つけた瞬間は花の香り、でもあっという間にハチミツ(こっちは花の蜜ではなくはっきりとハチミツの香り)の香りに変化していきます。まるで手持ち花火の色が変わるような変化です(安っぽい例えで申し訳ない)。だけどただ甘いハチミツなのではなく、その奥には燻された古木の香りがしていて、それが上品な印象にまとめ上げています。甘ったるい方向に全振りするわけじゃないのはこの木の香りが支えているからなのでしょう。

 良く言えばオリエンタル、俗っぽく言えば仏間の香りがハチミツの向こうに感じられます。祖父の仏間でお歳暮で送られてきた高級なお菓子(フルーツではない)でも食べてる時のような感覚はちょっとありますが、だからといって嫌な感じはしません。

 他のタバコ&甘い系の香水と比較して、ドライフルーツ等の酸味のある香りがないのもわりと好きなポイントかもしれません。

 

Miller Harris - Feuilles de Tabac

2000年発売、調香師はLyn Harris。

millerharris.jp

スモーキーでロマンチックなサン=ジェルマンのブラッスリーを彷彿とさせるフレグランス


リッチなウッド、タバコ リーフとスパイスがミステリアスに香り立つフレグランス。キューバ カスカリラオイルとピメントベリーが、パインニードルとベルベットセージとのクールなコントラストを描き、クリーミー トンカビーン、マレー半島のパチョリでその病みつきになるような特徴ある香りが完成します。

 

TOP
イタリアン ベルガモット / フレンチ セージ / シベリアン パインニード
HEART
キューバ産カスカリラ オイル / ピメント ベリー
BASE
フレンチ タバコリーフ

 

(上記サイトより引用)

つけたては木の香りがぶわっと立ち上ります。清々しい香りはおそらく針葉樹の精油(パインニードル)。全体的にはキリッとした印象の香りです。次第にお香のような香りがしてきます。離れて嗅ぐと石鹸のような、近づくとお香のような香りなので不思議な感じです。

時間が経つと少し甘さを伴ったタバコリーフの香りが残ります。

 

Caron - Tabac Exquis

調香師はJean Jacques。

forte-tyo.co.jp

CARONのシグニチャー、タバコファミリーのインスピレーションを得たジャン・ジャックのニュークリエーション。アイコンであるタバコにおいしくてモダンなチョコレートアコードのグルマンノートを吹き込む独創的なアイデアを思いついた。驚くべきこの組み合わせは普遍的な快楽を与えるフレグランス。

タバコアブソリュートとチョコレートのあたたかみのある特長を極限まで高めた。カカオとトンカビーンズのアブソリュートがグルマン感を盛り立て、アンブロクサンのウッディな広がりが肌の上に美しく残る。数々の素晴らしい素材がふんだんに使われ、酔わせるような香りとなり、使う人の感情を捉えて離さない・・・。

 

[香りの構成]

アンブロクサン|ラブダナムレジノイド|ミルラレジノイド|セイロンのシナモンバーク|モロッコのジャスミンアブソリュート|チョコレートアコード|タイのベンゾインレジノイド|ココアアブソリュート|イリスレジノイド|ソマリアのフランキンセンスハイパーアブソリュート

(上記サイトより引用)

↑あれ?!香りの構成のなかにタバコ入ってない?!どうやらタバコ以外でタバコっぽさを演出している香水の可能性があります。

 

つけたては甘い香り、そのすぐ後にわずかに苦みを伴う香りが立ち上ってきます。たしかに、カカオ90%とかの本格チョコレートのような苦い香りです。ベンゾインの甘ったるい香りもあります。タバコは......言われてみれば居ないかも?な感じ。

全体的には好きな香りです。タバコ入ってないっぽいけど。

 

まとめ

タバコ関係の香水をいくつか集めて嗅ぎ比べてみましたが、「すごく苦手!」という香水はあまりありませんでした。やっぱり系統として好きな方向性なのかもしれません。

今回のレビューで「祖父の仏間」がワードとして頻出してますが、いい匂いのイメージとして例示しているつもりです。

今回の中でどれが一番好きだったかと言われたら、ゲランのタバコハニーかな......?と思ってます。またゲランか。

 

というわけで前回に引き続き、ゲランが気になってきています。

次回はジャン=ポール・ゲランの作品を集めて嗅ぎ比べしてみたいなと思っています。

香水レビューその1

香水サンプルを購入できるCelesというサービスを利用したので、それで取り寄せた香水についてレビューしてみます。

そもそもなぜ急に香水?

もともと香料が好きでエッセンシャルオイルやスパイス、お香を集めていた人間なのですが、香水は高くて&地方在住ゆえに高級香水と接するチャンスがないまま過ごしていました。

持っている香水は母からもらった古びたChanelのNo.5と、横浜に遊びに行った時に偶然見つけて購入したLe Couventの「Fort Royal」というEDPでした。

それまで香水と言えばローズかムスクか、のイメージしかありませんでした。香水の名前も中学生時代に同級生たちが競ってつけてた「サムライウーマン」くらいしか知識がなく、成人しても「ミスディオール」の名前をようやく覚えたくらい。

そんな私にとって、ベンゾインとバニラを中心としたFort Royalは蠱惑的で心地よく感じられました。

 

......が、こちらの商品、廃盤となってしまったことが判明。久々に使ってみたら気に入ってしまい、今後も積極的に使おうかと思っていた矢先のことでした。

そこで、「似たような香りの香水はないか」「自分がほかに好きになれる香水はないものか」と気になって調べ始めたところ、冒頭のCelesさんというサービスを発見したので、それを利用して香水を嗅ぎ比べ始めたというわけです。

好きな香りについて

花についてはローズ系メインよりもローズ以外のほうが好きです。(ローズ系は使われすぎて陳腐化してしまいやすいイメージがあります。)イランイランやネロリなどが好きです。ローズも庭を連想させるような複合的な花の香りの中の一つとして混ざっているなら好きです。(サンタ・マリア・ノヴェッラのマッジオウォーターなど)

マッジオウォーターjp.smnovella.com

 

お香系も好きで、サンダルウッド(白檀)やウード(沈香)も好きです。クローブ(丁子)も好きです。

他にはFort Royalでも挙げていたベンゾイン(安息香)、バニラのような甘ったるい香りも好きです。

全体的に重ための香りを気に入っているようです。

 

このような好みのある人間がレビューしているという前提でお読みいただくとありがたいです。

Le Couvent - Fort Royal

Fort Royal [Wild Berries & Benzoin Absolute]fr.lecouventparfums.com

(確か)横浜高島屋で香水コーナーを見かけた時に、たまたま手にとって一目惚れした香水。「この私が香水を欲しくなるときが来るなんて!」と驚いたのを覚えています。

トップノート:ワイルドベリー、オレンジ

ハートノート:シスタス

ベースノート:ベンゾイン、バニラ、パチュリ

(上記公式サイトから引用)

香りは、よくも悪くも甘ったるい。でも私はその重たい甘ったるさが大好きです。

バニラとベンゾインのダブルパンチが効いています。

でもベンゾインのエッセンシャルオイル単体と嗅ぎ比べてみると、なんとまあエッセンシャルオイルの奥行きの無いこと!まるでバイオリン協奏曲からソロバイオリンだけ連れてきたかのような物足りなさです。そう、Fort Royalはベンゾインの後ろにいる低音の伴奏たちが重厚で心地よいのです。

残念ながら私の嗅覚ではシスタスとパチュリの香りは識別できていないのですが、全体の構成がとても好きです。

2018年発売、調香師はあのジャン・クロードエレナです。

どうして廃盤になってしまったんだ......かなしい......

GUERLAIN(ゲラン) - Double Vanille

バニラとラムという食べたら美味しそうな組み合わせにイランイランまで入ってると聞いては黙っていられずサンプルを注文。ちなみに私はお酒ではラムが好きです。ラムベースのカクテルばかり飲んでいた時期もありました。

www.daiichifl.com

なお禁酒中は上記のノンアルコールラムフレーバーなるものを手に入れてよく牛乳割りにしていました。おいしいです。

ノート:ラム、バニラ、シダー、ジャスミン、イランイラン 

www.celes-perfume.com

Celesのサイトでは上記のノートで解説されていますが、公式サイトの文章を見るとベンゾインも入ってる様子。やったー!

www.guerlain.com

ドゥーブル ヴァニーユは、ウッディでアンバーな香りがここではないどこかへと誘います。

このコンポジションでは、過剰なほどのヴァニラが、スモーキーでウッディ、そして芳香なファセットを表します。ジャスミン、イランイラン、ベンゾイン、シダーの香りに包まれ、ゲランの香水は、エキゾチックな逃避行や長い船旅を思い起こさせます。これは、ラムの香りとスパイスの木箱が誘う壮大な探検です。

(上記サイトより引用)

香りは、はじめは嬉しいおいしいもったりした甘さ。一番Fort Royalに距離が近い気がします。時間が経つごとに、木の香りが前に出てきます。なるほどこれがシダーウッドの香り......木箱の香り......。

甘さとお香っぽさのバランスがとれていて好きです。ムエットに残ったスモーキーな香りをずっと嗅いでしまう。

調香師はジャン=ポール・ゲラン。

 

GUERLAIN(ゲラン)  - サムサラ

www.guerlain.com

もともと香料を集めていたころから、白檀(サンダルウッド)の香りは好きでした。そこで検索した結果、出てきたのがこのサムサラ(EDP)。

トップノート:シトラス

ミドルノート:イランイラン、ジャスミン

ラストノート:アイリス、トンカビーン、サンダルウッド、バニラ

(Celesの紹介ページより引用)

www.celes-perfume.com

記事によってはラストノートにムスクを入れているものもありますね。詳細不明。

 

「イランイラン(女性性)とサンダルウッド(男性性)の組み合わせとかえっちすぎる!」と脳内の中学生が大騒ぎしながらチョイスしたわけですが、香りはそこまでセクシーという感じではなかったです。むしろ最初からサンダルウッドがどどんと猛烈に前に出てきて荘厳な感じ(お寺っぽいとも言う)がありました。

イランイランとサンダルウッドの組み合わせについては、思った以上に喧嘩しないで仲良く共存してくれていた印象です。花としてはジャスミンのほうが主役なようなのですが、私の嗅覚ではジャスミンを識別できなかった......。

肌に乗せると後半はだんだんと甘い香り(バニラ?)が立ち上ってきて、最初のフォーマルっぽい印象から女性的な印象に変化していきました。

最初の印象では「ただのサンダルウッドじゃね?」と思い、これならエッセンシャルオイルだけでもいいのでは......と思いかけたのですが、時間が経つごとにだんだんと変化していく香りに、さすが調香師のブレンドだなと唸らされました。

調香師はジャン=ポール・ゲラン。

 

ただ、私自身が医療系に勤めている関係から、職場で使用した場合、白檀=線香臭いと思われてしまう=めちゃくちゃ嫌がられる可能性が考えられたため、休日の楽しみにしたほうがよさそうだなと思っております。

 

Le Labo - Ylang 49

YLANG 49www.lelabofragrances.jp

ノート:イランイラン、 パチュリ、オークモス、ガーデニア、ベチバー、ベンゾイン  、サンダルウッド

(Celesのページより引用)

www.celes-perfume.com

こちらもイランイランにサンダルウッド、その上ベンゾインまで入ってるとのことだったので(Celesでの表記を参照)、好きな香り三点セットに期待してサンプルを注文。

 

はじめはイランイランなどの花らしい香りがぶわっと広がり、とにかく「花!」という感じ。奥にわずかにベンゾインの甘い香りを感じます。

時間が経つと次第にサンダルウッドの香りが出てきて、ベンゾインはほのかに香る程度。Fort Royalのようなしっかりベンゾイン!というほどではない感じ。

「フローラルな華やかな甘さも好きだけど、もうちょっともったり甘い濃厚な重い香りが欲しかったなー」というわがままが出てきました。

どちらかというとシャープでスッキリ寄りの香りの構成だと思います。

ジバンシイ - π

ベンゾインが入ってるので気になって注文。

www.givenchybeauty.com

トップノート
輝き、高揚し、きらめく新鮮さ(マンダリン、ガルバナム)

ミドルノート
異なる香りが共鳴し、強く繊細な印象(アンフィニウム)

ラストノート
πのオーラ。官能、静けさ、暖かさの広がり(ベンゾイン、ガイアック)

(上記サイトより引用)

最初の香りは華やかで甘さもあって「あー!この方向ね、好きだわー!」という印象。お化粧品の香り、というイメージを持ちました。

でも時間が経つと若干カーフレグランスっぽさが出てくる.....ムエットに残った香りは、オオウとなってしまった。トップのあのきらびやかな香りはどこへ......?

期待のベンゾインも、ムエットのほうではあまり感知できず、「えっ、居た?」というくらい。ここでのベンゾインは伴奏に回ったってことかしら......。

 

Tom Ford - Bitter Peach

www.celes-perfume.com

トップノート:ピーチ、オレンジ(ブラッドオレンジ)、カルダモン、ヘリオトロープ
ミドルノート:ラム、コニャック、ダバナ、ジャスミン 
ラストノート:パチュリ、バニラ、サンダルウッド、ベンゾイン

(Celesのページから引用) 

「やったー!ラムとバニラとサンダルウッドにベンゾインだ!甘々だといいな!」とはしゃいで注文したのがこちら。桃のこと見てなかった。

最初は桃、桃なんだけど奥に若干煙のような苦みがある。なるほどビターピーチ。甘い香りなんだけどもったり系よりもやはり桃のフルーティーなすっきり系の甘い香り。もうちっとコトコトこっくり甘ったるく煮詰めてほしいなと思っちゃったのが正直なところ(あくまで私の好みの話)。

ムエットに残ったほうはまたもや「ベンゾインどこいったのー?!」状態。サンダルウッドといっしょに伴奏に回ったんだろうなあ。

meeco.mistore.jp

ペッシュ ド ヴィーニュとブラッドオレンジが、熟しきった“ビター ピーチ”の洗練された甘さを放ち、ダバナがうっとりするような香りをもたらし、ラブダナム、パチュリ、サンダルウッドの香りが深みを加えます。

(上記サイトより引用)

.......ベンゾイン書いてないじゃん!!おるんか?!おらんのか?!おらんのではないか?!

サンダルウッドは後半戦には居る......と思う、でもなんか手前に酸っぱいのがいてよくわかんないんだよな.....。

 

Estee Lauder​ - Beautiful Belle

これは私の注文ではなくて、おまけでついてきたガチャ香水。

www.esteelauder.jp

初っ端から「あーうんうん、香水ってこういう匂いだよねー」というパンチで来る感じ。(好みから外れているものへの語彙力がない)

トップノート:ミモザ、ライチ、ローズ 
ミドルノート:ガーデニア、チュベローズ、オレンジブロッサム 
ラストノート:スエード、ムスク、アイリス、アンバーグリス 

www.celes-perfume.com

Celesのノート見て、「あー、バラとムスク......」となってしまった。いい香りだとは思うんだけど、同時に「下位互換に模倣されまくってる香り」という印象もある。

 

Maison Margiela - Jazz Club

「実は私は香水におけるタバコの香りが好きなのではないか?」という疑惑があったので(別記事で詳細をまとめます)、実験的に取り寄せてみたサンプル。ラムも入ってると書いてあったので注文。

www.maisonmargiela.com

ラムアブソリュートとバニラビーンで再現されたアンバーラムの芳醇な香り、タバコリーフとピンクペッパーで再現されたエレガントでスモーキーな香りをお楽しみください。

(上記サイトより引用)

第一印象は「あっこれ米軍基地で嗅いだことある!!!」でした。

米軍基地の軍服おねーさんがこの香りを身につけてフルサイズのサブウェイを頼んでいるイメージ(偏見)。

残念ながら私にはジャズクラブの夜のセクシーな雰囲気の前に、故郷で嗅ぎ慣れたアメリカンな雰囲気を感じ取ってしまったのでした。(私は米軍基地のそばで育ちました)

少なくともこの香水の中に「アメリカ」はあると思います。昼夜もしくはクラブ感はよくわかんなかった。

ムエットに残った香りでは、奥のほうにあるわずかにほんのり苦い香りがタバコリーフかな?このタバコリーフと思しき香りが、どうにも私が「ごめん、もうちょっと嗅がせて」ってなる香りのようです。やめられないとまらない。

タバコと言えば一般的な紙タバコの副流煙の匂いくらいしか知識と体験がないんですが、おたかーい葉巻とかってもしかしてこの香りがするんでしょうか.......。よく映画とかでお金持ちが葉巻をスゥーって火も付けずに吸ってるシーンありますけど、この香りを楽しんでるってこと?だとしたらチョットダケ羨ましい......。

 

まとめ

第一弾はこんなかんじです。

好きだったのはDouble Vanilleサムサラかな。ゲランめっちゃ好きな人みたいになってしまった。

Celesにすっかりハマってしまいもう第二弾(タバコリーフ編)を頼んでしまいました。

届いたらタバコリーフ編の記事も書くつもりです。

カフェインの下戸

カフェインとその仲間の下戸です。

1. 下戸とは

げこ 1下戸酒が飲めない人。上戸(じようご)律令制で,四等戸(大戸・上戸・中戸・下戸)の最下級。一戸に正丁(せいてい)が二人または三人いる戸。

スーパー大辞林より引用)、

 下戸とは上記のように、一般的にはお酒の飲めない人のことを指す。本来はカフェインに対してつかつ言葉ではない。

 ところで、下戸とは体質のことを指しており、代謝能力の違いで飲める量が個人ごとに異なっている。

www.asahibeer.co.jp

 

ALDH2」の活性が弱いか欠けていると、アセトアルデヒドが貯まりやすく、「お酒に弱い体質」になります。この酵素の活性は遺伝子によって異なるので、私たちは両親からお酒に「強い」か「弱い」かを受け継ぐことになります。

 

 で、私の場合は、カフェインやその仲間たちに対して弱すぎるため、勝手に下戸を自称している。

2. カフェインに弱い

 とにかくカフェインに弱い。コーヒーなんて飲めたもんじゃない。雪印のコーヒー牛乳の500mLパックを一人で飲み切ることができないくらいコーヒーは苦手だ。

www.meg-snow.com

 そして紅茶も苦手だ。紅茶自体は大好きなのだが、本格的な紅茶(マリアージュフレールなど)になればなるほど、カフェインがきつすぎて飲める量が少なくなってしまう。

www.mariagefreres.co.jp

 紅茶を練り込んだパンやスコーンなども大好物だが、そんなパンを食べた日には過剰摂取の症状が出てしまうので、最近は控えている。

 同様の理由で、抹茶系のお菓子も控えている。風味は大好きだけれど、体がきついのでしょうがない。緑茶ももちろん厳しい。動悸がして苦しくなる。カフェイン飲料なんてもってのほかだ。ジュース類もよくよくチェックしてから購入している。

 なお、私の母も抹茶について動悸がするなどと言っていたので、体質に関する遺伝があったのかもしれないと考えている。

 

3. チョコレートにも弱い

 2月に開催されるチョコのコミケことサロン・デュ・ショコラ。この田舎町でもそれにあやかろうとチョコレートのイベントは開催される。しかしそのチョコ関係のものですらやはり私にはきついのだ。

 カカオの分量が多い高級チョコレートで症状が出てしまうのはもちろんのこと、カカオパルプのドリンクを試しに飲んでみた日には、吐気に襲われて立っているのもやっとの体調になったものだ。

 悲しいことに、チョコレート屋さんがこだわればこだわるほどに、私の肉体はそうした高級チョコレートを受け付けることができなくなってしまう。安物で済む体だといえばそれはそうなのだけれども。

 そのため「紅茶を飲んだ日はチョコは食べない」「チョコを食べた日は紅茶は飲まない」といったルールを設定している。これを守らないと、あとで後悔することになる。

4. 症状

 先ほどカカオパルプのくだりで吐気の話が出たが、カフェイン関係のものを摂取しすぎるとどうしても体調を崩してしまう。吐気やふるえや不眠や緊張程度ならまだ可愛いもので、ひどいと不安が強くなりすぎて自責的な思考になったりする。産後から不安症状が悪化しており治療中の身としては、できれば避けたほうがいい症状だ。カフェインを摂ったがために他の薬で症状を抑えることになっては意味がない。

5. キサンチン誘導体

 このキサンチン誘導体と呼ばれるグループの中には、カフェイン、お茶に多いテオフィリン、チョコレートに多いテオブロミンが含まれている。おそらくだが、自分自身の体調をみるに、カフェインだけに弱いわけではなく、このキサンチン誘導体全体の分解が苦手なのではないかと疑っている。

 なのでおそらくは、カフェインの下戸というよりはキサンチン誘導体の下戸なのではなかろうか?と考えている。

6. いろんな下戸がいる

「お酒の場では無理にアルコールをすすめない」

というマナーが広まって大分経つが、実はアルコール以外でも、体質的に受け付けない嗜好品があることを知ってもらえるとありがたい。

 

なお、アルコールを避ける場面と同様に、カフェインを避けるにはマタニティ関連のお店で探すと、結構ノンカフェインの商品を見つけることができる。私は出産後もそうしたノンカフェインの商品を活用している。

(妊娠中にカフェインを控えたことでなおのこと弱くなってしまったかもしれないという可能性もある)

私と同様の症状がある人は、マタニティ関連のお店をチェックしてみるのはいかがだろうか。

「練習」は小学校以降?(個人的な仮説)

ここ最近考えていることについてメモ代わりにブログにまとめます。

一個人の推測でしかないので、ここに書いてある内容については医学的根拠はあまりないと思って読んでください。

1. 自分が考える「発達」について

 人間は生まれてから成長していくなかで、いろんな方面の機能を発達させていく。例えばそれは運動、言語、コミュニケーション。さらに成長すれば、抽象的な事象の理解や数学的な思考なども含むだろう。

 赤ん坊が生まれると度々指導されることではあるが、発達の速度には個人差がある。ある方面については人並みよりも早かったり、別な方面については人並みよりも遅かったりする。その成長がある段階から進みにくくなったり、分野ごとに進み方にばらつきがあったり。著しく遅れる場合については「障害」という名前がつけられる場合もある。

(1)速度と過程

 これは私自身の考えなので医学的根拠はないが、私は、発達について以下のように考えている。

  • 成長の速度については個人差がある。
  • 成長する分野ごとにばらつきがある。
  • 成長が頭打ちになる程度も個人差がある。
  • 全体的に見たときに、まんべんなく成長できない個体もいる。
  • 発達していく速度が違っても、過程は同じかもしれない。通り過ぎている時期が違うだけ。

 一番最後の項目については、かなり独自の考えかもしれない。通り過ぎて乗り越えるのが早すぎる場合は、その過程で何が起きているのかを観測するチャンスが少なくなりがちだが、ゆっくりと乗り越える人たちの様子を観察することで、比較的早く乗り越える人たちの中で起きていることを理解できるかもしれない、と私は考えている。

 もしくは、7歳10歳になってから乗り越えられないことを問題視されるような場合、その解決のための手法がいろいろ考案されるわけだが、その手法はもしかすると、2歳3歳でその壁に直面している人にも応用できるかもしれない、という考え方とも言える。

(2)到達時期の違い

 もう一つ、私が発達について考えているのは、課題を乗り越える年齢には個人差があるだろう、ということだ。上記(1)の内容とも重複するが、これは個人的な経験に基づく部分が大きい。

 例えば、私自身は以下のような経験をしている。

  • 小学校低学年のときはぼんやりとした理解だったものが、高学年になったらはっきりと理解し使いこなせるようになった(算数の計算など)。
  • 大学受験で1浪したら、受験勉強をどうやったら良いかがようやくわかった。
  • 大学で休学→留年したら、授業の意味をようやく体系的に理解できるようになった。
  • 国試受験で1浪したら、現役受験のときよりも知識を整理して理解できるようになった。

 ご覧の通り、私自身はストレート合格とは程遠い経歴を歩んできている。

※一応、国試受験以外は身体疾患が原因による浪人留年であることを補足しておく(身体疾患のためにまともに勉強できなかったという背景があるとも言える)

 この経験以降、私は「N歳で習う内容を完璧に理解できるようになるのがN歳とは限らない」というような考えを持つようになった。そのラグがN+1歳程度でおさまる例もあれば、N+10歳ほど、もしくはそれ以上の開きが必要となる例もあるだろう、と私は考えている。

 とはいえこの考え方は私個人だけではなく、例えば「Fランク大学がなぜ必要か」「大学に来てから掛け算を勉強する層について」といった議論でも語られる場合があるため、その可能性にについて検討している人は他にもいるのかもしれない。

 この、「到達するには時間がかかる」が「時間さえかければある程度までは到達できるかもしれない」というのが、私の考え方だ。

(3)宿命論的思考と教育の機会

 そのうえで、私はある種の宿命論的な考え方を持っている。つまり、「成長できるかどうかについては、教育でどうこうできる範囲は小さく、発達に時間がかかる脳を持って生まれてしまったかどうかで決まる」という立場だ。

 個人的に、教育の機会というのは観測機会であると考えている。それは赤ん坊が受ける発達具合を調べる検査にも似ている。教えたら理解できるようになるのではなく、「教えたら理解できるようになっている状態まで発達が進んでいる場合に、適切な方法で教えたら、できるようになることが観測できた」というのが、教育の実態なのではないかと思っている。裏返せば、「下準備としての発達が十分でない状態のときにいくら教えても習得しようがない」ということにもなる。

 例えば、まだおすわりもできない低月齢の赤ん坊に、積み木を重ねることを見せて真似させようとしてもできようがない。そもそも座ったり、自分の手の存在に気づいたり、手を自在に操作したりする能力を習得していないからだ。その他にも、ものを自由に扱う能力、ものを重ねられる能力なども必要になるだろう。これは極端な例ではあるが、このできなさについては、教え方の問題ではないことはご理解いただけるかと思う。

 ほかにも、「数字が数えられない2歳児に割り算を教える」「丸もかけない子に漢字の書き取りをさせる」といった例を出すこともできるだろう。いずれも、必要条件が満たされていないがゆえの無茶な指導ということになる。

 しかし同様の「発達が追いついていないからできていないだけであり、その時点でいくら教えても無理」のような事象が、年齢を重ねるごとに無視されやすい状況があると私は考える。特に、個人によって分野ごとの発達にムラがあり、発達が遅い部分も年齢相応の理解が要求されるような場面では、その遅れに応じた対応が無視されやすいと私は考えている。

 特に義務教育期間に顕著ではあるが、留年の制度がないために、個人が分野によっては年齢不相応な発達の未熟さを抱えていても、年齢相応の内容をどんどん詰め込まれてしまう側面がある。

 もしもこのような場合に、遅れて過去の課題に取り組む対応をとってもらえるならば、過去に理解できなかった部分をあとから理解・習得できるかもしれない。私が「教育の機会は観測機会である」と言うのはこのためだ。最初にその課題にぶつかった時点から5年10年経過し、それだけ脳や理解力が発達した段階でもう一度当時の課題に触れることで、今度は乗り越えることができるかもしれない。そういう機会を見逃さないために、継続的な教育の機会は必要だろうと私は考えている。

 また、ここまでは主に学業に関する点からの理解度や遅れについて述べたが、この話は学業以外の部分にも適用できると考えている。たとえば社会性やコミュニケーションについてもだ。この点についてはテストの点数すら出ず、独自で習得せねばならない範囲が広いといえる。とはいえこの分野についても同様に、遅れてからでも取り返せるような教育の機会(=観測の機会)は必要であろうと考えている。

 もしもあとからの教育の機会がない状態が続くと、必要条件を満たしているにもかかわらず、「今学べば身につく状態であること」を知ることができないままになってしまう。それを逃さないという意味では、環境因子としての継続的な教育の機会というのは重要と言えるだろう。

 注意していただきたいのは、この考えは「教育すれば遅れを無くせる、平均のレベルに追いつく」という解釈ではないということだ。「発達が必要条件を満たした段階で教育を受ければ、以前取り逃がしたものをあとから習得できる」のであって、最終的に平均値に至ることまでは意味していない。

 ちなみに、私は早期教育についても同様の観点から考えている。早期から課題に曝露させることで観測機会が増えることから、できない→できるにシフトするタイミングをより早く察知できているだけであって、成熟の速度を早めているわけではないのでは?と私は考えている。

 こうした考え方はあまり教育・育児関連のコンテンツで取り扱われることはない印象を私は持っているが、それはこの考えが教育課金産業と相性が悪いこととも関連しているからではないかと考えている。「早期からお金をかけて手を尽くせばなんとかなりますよ」という結論にはならない考え方だからこそ、あまりこれを支持する表現は好まれないということだろうと推測している。

(4)「見える」と「識別できる」

oblique(オブリーク)効果 | 眼の事に関する物

 

2. 我が子の発達の観測内容

 話は少し逸れるが、表題の「練習」に関連する話として、私の子ども(2020年生まれ、記載時点で4歳後半)の数量的感覚と時間的感覚の理解と発達について観察した内容を書き出してみる。

(1)数量的感覚の発達

 記録を遡れる範囲で記載してみる。文字や数字の読字・理解については、平均よりはやや遅めの発達速度ではないか?と親としては感じている。

 

2歳8ヶ月:「数字が書いてあること」に興味を持つ様子がある。

2歳11ヶ月:「すうじのうた」に基づき、数字の形を見て、7を「らっぱ」、2を「あひる」と呼ぶようになる。

3歳7ヶ月:「ひとつ、ふたつ、みっつ」までは、ほしい個数を言葉で指定できる。

4歳0ヶ月:「いち」という音で、「ものがひとつある」ことは理解したが、「1」という字は読めない。「★★★」を見て「みっつ」と言うことはできる。

4歳1ヶ月:「いち、に、さん」まで暗唱できる。物の数を伝えたいときは、片手で指を使い1〜5の数を指定するか、両手で10を示しながら「いっぱい」の意味を表現する。

4歳3ヶ月:妹が生まれ4人家族になったが、「4」という数の概念が把握できていないので、「4人」という表現をすることができない。

4歳7ヶ月:10円玉に「いち」「ぜろ」と読める数字が書いてあることに気づいた。組み合わせて「じゅう」と読むことはできない。「いち、に、さん、〜、じゅう」までは親と一緒なら暗唱することはできる。一人での数唱には自信がなさそう。5以上は失敗率が高い。

4歳9ヶ月:「★★★」と「★★★★★」のカードを見せたときにどちらが多い方かがわかる。それがなんという数字を表しているのかについては親と一緒に数えないと、数字の名前を言えない。

 

 5歳前の時点で、親としては以下のような特徴を感じている。

  • 数字が書いてあることはわかり、フォントの変化にも対応できている(違うフォントの字を同じ字として認識できている)
  • 数字の「読み」とアラビア数字の「字」と、個数を表す「絵」もしくは「指」が、つながるのに時間がかかっている。
  • 「読み」と「絵/指」と「字」がつながっているのは0、1まで。
  • 「絵/指」と「字」がつながっているのは2、3まで。

 もともとこの子の特徴として、新しい名詞を覚えたりするのが苦手で、名前ではなく特徴で暗記したり指定したりすることが多かった。(例: 「モーセ」を「海を割ったおじさん」と呼ぶなど)

 また「意味が付随していない音」を扱うのが極端に苦手だった。「あいうえお」と復唱できるようになったのは4歳1ヶ月、「ドミソ」などの音階の復唱ができたのは4歳4ヶ月、語頭音の音韻認識(「あひる」の「あ」、など)ができるようになったのは4歳8ヶ月。

 これを考慮すると、おそらく「ろく」「はち」「きゅう」といった音に意味を付随させることができていないがゆえに、10までの数唱も不安定な可能性がある。

(2)時間的理解の発達

 時間的理解の発達について、詳細な習得時期については記録が遡れないので記載できないが、概ね以下のような順番で把握していったと記憶している。

今現在の認識

過去の経験の認識(以前訪れた経験を思い出せるようになる)

過去・現在・未来の前後関係を点で認識(きのう、あしたといった語彙を使えるようになるが、すべての過去を「きのう」、すべての未来を「あした」と呼ぶため、正確な時間関係を示すことはできない)

複数の時間にまつわる語彙の習得(この間、きのう、さっき、あとで、あした、というバリエーションが増えるが、正確な順番で扱うことはできない)

未来について予定や推定を話せるようになる。「きっと」「たぶん」「もしかして」という語彙が増える。順番待ちができる。

 

 この後にはおそらく、「この間」「きのう」「さっき」を適切な順番に並べることができる段階がありそうである。「何ヶ月後」「次の季節」「来年」といった長い単位の時間を認識できるようになるタイミングもあるだろう。また、その頃には出来事を点で把握するのではなく、過去から未来へ連綿と続く連続的な時間として認識することもできるようになるだろうと私は考えている。

 現段階では、時間が前後に広がっていて、できごとが過去と未来に点で存在していると理解しているような話し方をするが、「過去を積み重ねることで未来が変わる」ことは理解できていない様子がある。これは、自分に関する出来事だけではなく、親に対する態度やゲームの遊び方にもそうした様子が現れている。

 この時間的感覚の発達については、後述する客観視の話に強く関連してくるため、ここでご紹介した。

 

3. 客観視の発達

(1)客観視とは

(書きかけの時期から時間が経ちすぎたため、これ以上書けません。書ききらないまま公開します)

ビーズ刺繍を始めた話

1. アクセサリーが作りたくて

 2024年5月、娘が生まれた。赤ちゃんが生まれると、やれ記念日だ撮影だとイベントが怒涛のようにやってくる。それに合わせて、よくいるハンドメイドお母さんの例に漏れず、娘のためにアクセサリーをいろいろ作ってみたいと思うようになった。

 最初は、シルクの毛糸で編んだヘアバンド。それからインド刺繍リボンで作ったヘアクリップ。メルカリで買ってきたつまみ細工のパーツを組み合わせて、ベビー着物の色に合わせたヘアクリップを作ったこともあった。

 それから、リボン付きのカチューシャをいろいろと作るようになった。とても似合っていたが、まだ小さい娘はカチューシャの感触を嫌がって外してしまうのが難点だった。

 それからもハンドメイド欲はおさまらず、姪っ子にアクセサリーを作っては送りつけたりしていた。

2. ダイソーの透明な細い糸

 2025年2月ごろ、ミシン担当の夫が収納ケースをあさりながら、

「透明なミシン糸ってのがあるけど、使う?」

と聞いてきた。本人は使いこなせず余していたのだという。

ミシン糸(透明、300m)jp.daisonet.com

ミシン糸とは書いてあるが、要はテグスである。糸の単位で言えば#60(60番手)、150デニール。テグスでいうと0.8号くらいの太さであるらしい。

以前購入したものの、使える糸がなくてしまっていたビーズ刺繍用の針に通してみると、なんとちょうどよく使えることが判明。

store.shopping.yahoo.co.jp

そこからあれよあれよとビーズを縫い付ける遊びを繰り返して、気づけばビーズ刺繍をはじめていた。

 

ビーズ刺繍といえば本当は、テグスではなくビーズ刺繍用の糸を使うものらしい。

ビーズ刺しゅう糸www.miyukifactory.com

けれど高額で簡単には手に入らない上に、ビーズごとに色を変えなければならないそうなので、透明な糸のほうが便利だと思い、私は「透明なミシン糸」でビーズ刺繍をすることにした。

 

(ちなみに、最近ではダイソーでもビーズ刺繍針を購入することができるので、チャレンジしてみるのはいかがだろうか)

ビーズ刺繍針(4本)jpbulk.daisonet.com

3. 扱いやすいガラス素材としてのビーズ

 市販の大きなビーズはたいていアクリル製だが、シードビーズと呼ばれる小さなビーズはガラスで作られていることが多い。つまり、ビーズ刺しゅうにおいてはガラスの手芸作品を作ることができるとも言える。

 一般的にガラスで手芸をしようと思っても、工房に行って吹きガラスなどをやるか、ステンドグラスのような作品を作ることになるだろう。けれどビーズであれば、100円ショップで購入できて、自宅でちまちまと縫い付けることができる。その上、その輝きはまごうことなくガラスの輝きだ。

 私にとってのビーズ刺繍の魅力はここにある。ガラスとしての本物の輝き。そのガラスをまるで塗り絵のように広げることで、絵を表現できる。それがビーズ刺繍の強みだと感じている。

 ルネ・ラリックのような美しいガラス作品を......とまでいうとハードルは高いが、あの19世紀から20世紀初頭ごろの、ガラスに対するあこがれがあった時代のような美しさを目指せたらいいなと思いながら、縫い付けている。

4. つぶつぶ

 とはいえ、ビーズにはビーズゆえの欠点もある。つぶつぶだ。

 集合体恐怖症の人にとっては、ビーズのつぶつぶとしたテクスチャは嫌悪感を催すものでもある。ビーズ好きの人たちはそもそも集合体が平気なので、むしろそのつぶつぶ具合を楽しむような作品を作っていることさえあるが、そうではない人にとってはビーズ作品は見ることすら苦痛だろう。

 私としてはできればそこを乗り越えられるようなビーズ作品を作りたい、と考えている部分もある。なのでできるだけ、「粒ではなく線として」「粒ではなく面として」「粒としての影が目立たない色で」という点を重視しながら、ビーズ選びを工夫している。たとえばできるだけ透明に近いビーズを選んだり、例えばくもりガラス加工のものを使用したりするなどしている。

 私はあくまで、ガラス工芸品の代わりとしてのビーズ刺繍をしたいので、ガラスの塊のように見えるビーズの組み合わせ方を考えたいと思っている。

 それと、ガラスのきらめきを持ったビーズとしての強みの両立もできればいいなと思っているけれど.....そこはまだ難しい。

5. 作家性ってどこに出るんだろう

 いろんなビーズ刺繍作家さんの作品を見ながら、「こんなこともできるんだ」と驚く場面もあれば、「これは私の作りたい方向性じゃないな」と感じるときもある。そうして色んな作品を見ていくことで、「じゃあ私の作りたいものってなんだろう」と見つめ直すこともできる。

 ビーズという、工場で生産された既製品を組み合わせて、刺繍する作業。技術的に他の人の手法を部分的に参考にすることもできてしまうし、やろうと思えば、誰かの作品と同じ色のビーズを取り寄せて、真似て作ることもできてしまう世界。けれどそんな中において、

「私はこのビーズを選ぶ」

「私はこのビーズをこう並べる」

そこを選択しつづけていく過程で、他の人とは違う行き先にたどりつくとき、そこに個性が出るのではなかろうか、と最近は考えている。

 

 その一方で、ビーズだけですべてを表現しようとするのにも私は違和感を感じている。私としては、本物としての素材感が出せればよいので、ガラスのきらめきを持つビーズとともに、刺繍糸なら刺繍糸としての輝きを、リボンならリボンの立体感を、陶器なら釉薬のつややかさを、両立できればいいとも思っている。だから、ガラスのビーズとともに貝殻からできたシェルビーズを一緒に縫い付けることも考えている。どれも素材本来の輝きを持っているパーツだからだ。

 

6.いつまで続けられるのか

 とは言いつつも、いまは育休中で時間が比較的あるからこそできているようなものだ。この育休が終わったら、もう一切手を付けないかもしれない。いずれ娘がもう少し大きくなって、「自分もやってみたい」と言い出す日が来たときのために、テクニックや発想を保持しておくことが今は大事なのかもしれない。幸いビーズは腐らないので、また数年後に役立つ日がくることを楽しみにして待っていてもいいのかも。